ウエディング業界でのニーズも高まる。“おもてなし文化を最大化”させるDXの必要性|「Wedding-UP DAY 2022」session6

ウエディング業界でのニーズも高まる。“おもてなし文化を最大化”させるDXの必要性|「Wedding-UP DAY 2022」session6

2022年12月1日、ハイブリッド型のオンラインカンファレンス「Wedding-UP DAY 2022」を開催しました。テーマごと7つのセッションに分けられ、業界の枠を超えた計23名の登壇者がこれからのウエディングビジネスについて考え、ともに語り合いました。

「DX」をテーマにしたsession6では、「リアル」で顧客と接する機会の多いウエディング業界でどのようにDXを取り入れていけばいいのかを、LINE WORKSと鳥善の事例をもとに語りました。

ウエディング×DX市場について

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>写真左から片石氏、伊達氏、小笠

近年、デジタル技術を活用することで企業に改革を起こすDX(デジタルトランスフォーメーション)が話題となっています。

しかし、ウエディング業界をはじめとする一部の業界では推進に遅れが出ているのが現状です。DXのためには、何が必要なのでしょうか?

session6では、ビジネスチャット「LINE WORKS」を運営するワークスモバイルジャパン株式会社の片石 哲也氏、レストラン経営やウエディングプロデュースを手がける株式会社鳥善の伊達 善隆氏、株式会社ウエディングパーク DX本部の小笠 真也の3人が、ウエディング業界のDXについて語り合いました。

はじめに、小笠がウエディング業界におけるDXの概要や市場規模について解説しました。

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「経済産業省によると、DXは、デジタル技術によりこれまで測ることのできなかった付加価値を創造し、競争上の優位性を確立することと定義されています。これまでのアナログな業務をデジタルにするのはただの『デジタル化』で、その先にある価値の創造や、競合優位性の確立が『DX』なのです」(小笠)

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また、小笠は、DXの市場規模が2030年度には2020年度の3.8倍となり5兆円を超える予測についても発表。その理由として「業務の効率化、人材不足の解消、働き方改革の影響、『2025年の崖』の解消が挙げられる」と話しました。

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※経済産業省が2018年に発表した「DXレポート」で提唱された2025年の崖とは、企業がDX施策を打たなければ、2025年から2030年にかけて最大で年間12兆円の経済損失が生じるとしたもの。2025年の崖を切り抜けるためにも、企業のDXが欠かせません

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また小笠は、個別業務、自社業務全体、自社プラットフォームという「3つのDX」があると語り、それらは「CX(顧客体験)、ES(従業員満足度)との親和性が非常に高い」と説明。DXによって生まれるメリットについて「CXを高めることによって企業価値が高まり、従業員の満足度も上昇、顧客との接点も充実していくのではないか」と述べました。

LINE WORKSのデータで見るDXのニーズ

小笠からの説明を受け、片石氏は「社内・社外の両方を繋げるのがLINE WORKSの特徴」だと話し、コロナ禍以降、BtoCのニーズが増えている根拠を解説しました。

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片石氏は、「顧客が担当者とLINEを使ってコミュニケーションを取っている」割合を棒グラフに、「顧客が担当者とLINEでコミュニケーションを取りたいと感じている」割合を折れ線グラフにまとめたデータを提示。

棒グラフと折れ線グラフの間が空いている業界は、顧客視点からするとLINEを使ってコミュニケーションを取りたいけれど取れていない、デジタル化のニーズがある業界だと話しました。具体的には、ブライダル業界や保育園、不動産などが挙げられ、それらの業界に導入されることで「打ち合わせの時間などのやりとりがスムーズになる」「コンバージョン率が上がるなどのメリットがある」とも語りました。

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それを聞いた小笠は「結婚式当日までに、ウエディングドレスや引き出物など決めなければならないことや打ち合わせの機会がたくさんあるからこそ、ウエディング業界でも担当者と気軽に繋がれることにメリットを感じる」と感想を述べました。

続いて、経営においてDXの視点を持つ伊達氏は、デジタル技術の導入によって「効果的なコミュニケーションが大事」だと続けました。

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「DXに取り組まないことで、3つの失望が生まれると考えています。1つめは『従業員の失望』。日々、顧客視点を意識していろんなツールを使っているからこそ、自社に対する気づきもありますし、競合他社はDXやデジタル化が進んでいるのにうちは遅れていると失望するかもしれません。2つめは『お客様の失望』です。『他のお店ではできるのにできない』『他のお店よりも手間がかかる』など、そういったことがストレスになります。3つめは『社会からの失望』で、これは業界全体がダメになってしまうことが挙げられます。3つの失望を防ぐためにも、DXが必要なんだと思います」(伊達氏)

伊達氏のウエディング業界のDXが進んでいないのはなぜかという質問に、片石氏は、業界の問題を指摘しました。

「プランナーさんのなかには、ツールを導入するとなるとアナログの業務に加えて仕事量が増えるとお考えになる方もいて、難しさを感じました。とはいえ、『めちゃくちゃいいですね!』と言ってくださる方もいらっしゃったので、一概には言えませんが…」(片石氏)

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片石氏は、「誰が」「いつ」「どのような」やりとりをしたか記録が残ることをLINE WORKSの利点として挙げ、データを活用することで分析につながること、質問に対する返答といったデータをまとめて、ナレッジを蓄積できることもメリットだと話しました。

それに対し、小笠は「これまでのやり方では見えてこなかった、プランナーのコミュニケーション能力など定性的な部分も知れますし、どんなコミュニケーションをとっているのかを、見える化して分解していくこともきっと大事ですよね」とコメント。

片石氏も大きく頷き、「アパレル業界でも起きていることですが、これまではブランドやお店に対して好意をもち、顧客=ファンになっていたところが、ツールを使うことで“人”に対して顧客=ファンになるケースがあります。エンゲージメント強化はDXのなかでも大切かなと思います」と話しました。

未来を考え、組織風土そのものを変えていくことが大切

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伊達氏も、「未来を考えたときに、優秀な方に残ってほしい・採用したいと考えていて。だからこそ、デジタル化はしっかりやらないといけないと思っています」と語り、それは業界にも通ずることだと言いました。

「LINE WORKSを入れるとプロセスが明確化されるのも素敵ですし、やっぱり、見える化が大事ですよね。会話の情報もそうですし、社内のコミュニケーションなども引っ張り出した上で、ビジネスモデルそのもの、組織風土そのものをトランスフォーメーションすることが必要なんだなと思います」(伊達氏)

さらに、クラウド事業が増えていることについても触れ、それらを活用することで企業規模関係なくデジタル化はできると力強く語り、「僕もまずは無料のツールを活用しながら、ペーパーレス化やオンライン上のコミュニケーションを試しています」と話しました。

また、「ウエディング業界は人が中心の産業なので、従事する社員を失望させてはいけないと思っています。やりたいこと以外に時間を取られすぎる非効率な環境だと、業界自体が取り残されてしまうので、人を中心に考えるようにしていますね」と経営者目線のお話もされていました。

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DXの基礎知識から、LINE WORKSのデータをもとにウエディング業界をはじめとする世の中のDXについて考えたsession6。最後は、片石氏、伊達氏からのメッセージで締めくくりました。

「私自身、挙式をしたときにプランナーさんの重要さを感じましたし、LINE WORKSを通して繋がっていただくことで、プランナーと丁寧なコミュニケーションを取ることができ、プランナーさんの良さがさらに引き出されると考えています。なので、何かお力になれることがあれば嬉しいです」(片石氏)

「さまざまなサービス環境も整っているので、我々みたいな中小企業も、挑戦して、失敗しても、すぐに改善していけるようになっていると思います。今すぐできることはたくさんありますし、ツールを活用しながら本当に大切なことを考えるのが大事だと感じています。私も勉強しながら、DXに取り組んでいきたいです」(伊達氏)

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