カップルに新たな選択肢と体験を。デコルテが考える「フォトウエディング」が持つ価値と可能性【#ミライケッコンシキ2021 Vol.4】

カップルに新たな選択肢と体験を。デコルテが考える「フォトウエディング」が持つ価値と可能性【#ミライケッコンシキ2021 Vol.4】

新型コロナウイルス流行をきっかけに、世の中は大きく変わりつつあります。個人の価値観が変化し、さまざまなサービスがアップデートされるなか、ウエディング業界にも変化が生まれていくことは想像に難くありません。

2020年からスタートしたシリーズ「#ミライケッコンシキ」では、「ミライの結婚式のために、イマ私たちができること」をテーマに、ウエディング業界に携わる方々に取材を重ねてきました。

継続的な取材を通して、2020年と2021年ではウエディング業界の雰囲気が少し変わってきたと感じます。明日を暗中模索する段階を経て、未来へと力強く歩み始めたような印象を受けるようになりました。

そんな今だからこそ、「#ミライケッコンシキ2021」をスタートします。

結婚式はこれからどうなっていくのか。まだまだ先行きが読みにくい今だからこそ、ミライの結婚式について、一緒に考えてみませんか?

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コロナ禍でカップルからのニーズが急増しているのが、結婚の記念や結婚式の新しい形として写真を撮る「フォトウエディング」。
結婚式を挙げるタイミングが難しい、小規模な式にせざるを得ないかも…。そんな悩みを持つカップルにとって、写真で結婚の証を残すフォトウエディングが新たな選択肢になっているようです。

私たちの両親世代の結婚記念写真と言えば、スタジオ内でふたりが並んでいるところを正面からカメラマンが撮影する…というようなイメージを持つ方が多いかもしれません。しかし「フォトウエディング」では、映画やドラマのワンシーンのようなドラマチックな写真から、思い出の場所でのおふたりらしい写真まで、バリエーション豊かな撮影ができます。

「フォトウエディング」という言葉自体まだ一般的でなかった頃から、このジャンルを開拓してきた先駆者がいます。株式会社デコルテです。業界でいち早くフォトウエディングを手がけ、現在は「STUDIO AQUA」をはじめとするスタジオを全国に展開しています。

そのデコルテの代表を務める水間寿也さんは、自身もフォトグラファーとして型にとらわれない撮影を通じ、フォトウエディングの可能性を広げてきました。20年以上にわたって奔走してきた水間さんに、コロナ禍によるフォトウエディングの変化と今後をうかがいます。

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記事中のウエディングフォトは、全て水間さんが撮影したもの。現在でも水間さんは20年以上のキャリアを活かし、トップフォトグラファーとしてカップルの撮影を続けている。


■ プロフィール

株式会社デコルテ 代表取締役社長
水間 寿也

大学卒業後、写真専門学校、印刷会社 写真事業部でのアシスタントを経て広告カメラマンとなる。2005年にデコルテへ入社後、ウエディングのフォトグラファーに転向。日本のフォトウエディング文化の黎明期から携わり、その発展を支えてきたフォトウエディングの第一人者。
デコルテは、2001年のホールディングス設立以来、20万組以上の新郎新婦を撮影しながらフォトウエディングをリードしてきた。「STUDIO AQUA」をはじめとするスタジオを全国で展開し、写真を通じた新たな体験を提供し続けている。公式サイト / Instagram


20年間で、フォトウエディングはどう変わってきたのか

── 水間さんが2005年にデコルテに参画された頃は、「フォトウエディング」というジャンルはどの程度知られていたのでしょうか?

ほとんど知られていなかったと思います。当時は「前撮り」と言っても伝わらなくて、「式を挙げる前に記念撮影をします」と毎回説明していたくらいです。デコルテで始めたのも、小さなチャペルで挙式するカップルを撮影する「式場ありき」のサービスでした。

僕自身は、もともと広告カメラマンの出身です。デコルテから声がかかり、ミニチャペルでの撮影を始めたのですがウエディングにおける写真の型を知らずに撮影していたからか、次第に「画が新鮮だ」と依頼をいただけるようになり、式場ありきのサービスから「撮影ありき」のサービスに変えていったんです。

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── 20年以上前からウエディングフォトに携わってきた水間さんから見て、いつ頃からフォトウエディングの知名度が変化してきたと思いますか?

2015年前後じゃないでしょうか。まずは「前撮り」って説明しなくても伝わるようになりましたよね。そして式場での前撮りがメジャーになった後、各地にフォトスタジオが増えてからは、式場とは別の場所で記念撮影をする「別撮り」も浸透していきました。

あとは、同じタイミングで広まったSNSも大きなきっかけとなっています。前撮りした写真がSNSにアップされるようになった結果、ウエディングフォトを目にする機会が一気に増えたはずです。

それに伴い、写真の撮り方も変わってきています。以前は僕たちフォトグラファーから写真の撮り方を提案していましたが、今ではお客様が前もって情報を持っていて、「こういう写真を撮りたいです」と指定されることが増えました。

── SNSが浸透したことで、ウエディングフォトにおける流行りもどんどん変わっていきそうですね。

そうですね。これまで、ウエディングにおける流行りといえば、衣装(ドレス)に関わることがメインでしたが、今では写真のスタイルも海外のトレンドを追いかけるようになっています。ウエディングフォトが文化として根付いている国では、写真のスタイルも成熟しているので、最近だと韓国や中国、香港などの東アジア風の写真を希望される方が多いですね。

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コロナ禍でフォトウエディングが直面した変化

── コロナ禍で結婚式が延期になったり制約がかかったりするようになってから、フォトウエディングへの注目が一気に高まっています。デコルテではどのような変化がありましたか?

お問い合わせの件数だけでなく、ニーズも変化しています。今までは、ドレスか着物のどちらかで前撮りされる方がほとんどでした。ドレスは式で着るので前撮りは和装のみにするケースが、特に多かったですね。でも新型コロナウイルスの影響が出てからは、ドレスも着物も両方着たい、というニーズが圧倒的に増えました。

これは、コロナ禍で結婚式の延期が急増した結果、「結婚式の代わり」としての選択肢にフォトウエディングが入ったのだと考えています。本当は式を挙げたいけれど、挙式するか迷っていたり、いつ挙式できるかわからない状態で延期をし続けるのが難しかったりする方がフォトウエディングを選ぶようになって、知名度が一気に上がったのではないでしょうか。

── その変化に応じて、コロナ禍でデコルテとして注力したことはありますか?

珍しいことではないと思うのですが、お客様の変化に合わせて選択肢を増やしたことです。まずはオンライン接客ですね。来店して準備を進めたい方もいらっしゃるのでお客様に選んでいただけるようにしていて、最近だと全体のお問い合わせのうち3割程度はオンラインで対応しています。

それから先ほどお話した、衣装面での要望です。デコルテではもともと衣装に力を入れていたので、ドレスも着物も両方着たいというニーズに応えられているんじゃないかなと思います。挙式ではチャレンジしにくいドレスを撮影用に選ぶ方も多くて、楽しんでいただけているようで嬉しいですね。

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フォトウエディングの「価値」を高めるために

── フォトウエディングへの注目が一気に高まった今、デコルテとしてあらためて大切にしたいと考えていることを教えてください。

僕たちはデコルテ立ち上げ以来、「フォトウエディング」の認知度と地位の向上を目標に掲げてきました。言葉としては少しずつ浸透してきましたが、もっと重要度を上げることはできると思うんです。ですからクオリティの高い写真を提供し続けることで、フォトウエディングの価値を高めていきたいと考えています。

── 価値を高める、というのは具体的にどういうことでしょうか?

海外では結婚したら写真を撮る文化が定着している国も多くて、インバウンドのお客様が撮影に割く予算は、比較的大きい傾向にあります。僕たちとしてはその分お客様のこだわりを叶えてあげやすいので、一生に一度の写真をより高いクオリティでご提供できるんですよね。

でも日本では、まずフォトウエディングにお金をかける文化が定着していません。だからこそ、僕たちが提供する「体験」をいかに楽しんでいただけるかが重要だと思います。撮影の時間が楽しくなければ、写真を後から見返すこともないじゃないですか。撮影で思い出をつくっていただき、後からアルバムを手に取っていただくことの積み重ねで、体験に価値を感じていただけるようになると考えています。

── コロナ禍の今こそ、フォトウエディングの価値を体験していただけるチャンスなのかもしれませんね。

そうですね。コロナの影響が長引き、挙式がキャンセルや延期になっている方も多いはずです。そのような悲しい気持ちをされているお客様の受け皿になることが、僕たちの役割だと考えています。写真は式の前でも後でも撮れますから、柔軟に活用していただいて、今しかつくれない思い出を写真で残していただけたら僕たちも嬉しいです。

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