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Webでの自社集客を、ウエディングプランナーが担当する理由。「お客様視点」を大切にし続けるディアーズ・ブレインの一貫した施策【Wedding-UP CASE #002】

結婚するおふたりの式場検討時の情報収集源が多様化してきている今、ブライダル業界で注目されているキーワードのひとつが「自社集客」です。予約機能のある中間サービスを通さずに、式場各社の公式ホームページなどから直接予約してもらう集客方法を指します。

式場が伝えたいメッセージは公式ホームページにこそ込められていて、その思いに共感した顧客とのベストマッチを叶えられるのが「自社集客」。

新型コロナがウエディング業界に大きく影響をもたらし、広告費を削減する傾向が強まっている今、顧客と式場双方にとって幸せなマッチング手法として「自社集客」はますます重要になっていくのではないでしょうか。

そこで結婚あした研究所では、自社集客に注力し成功している企業の事例(CASE)を紹介する新企画「Wedding-UP CASE 〜自社集客力を鍛える〜」を立ち上げました。各社がどのように自社集客に取り組み、その先に何を目指しているのかを聞いていきます。

今回取り上げるのは、株式会社ディアーズ・ブレイン(以下、DB)です。DBは、自社集客力をアップするために、各式場のウエディングプランナーがマーケティングにも携わることを重要視されているそう。同社のマーケティング責任者であるマーケティング部 部長 兼 東日本ウエディング事業部 部長の山西礼子さんにお話をうかがうと、ウエディングプランナーがマーケティングに関わることの大切さが見えてきました。


■ プロフィール
株式会社ディアーズ・ブレイン
2001年創業。“OPEN DOORS!!”の理念を掲げ、ウエディング事業を中心に、ドレス、レストラン、MICE事業を展開している。ウエディングの事業ブランド「Dears Wedding」は、「The Wonder Journey ふたりの未来を探す旅」というブランドプロミスを掲げ、半年間の準備期間や担当一貫制、独自のサービスプログラムを用意し、テーマ性のあるウエディングを提案。公式サイト

お客様の情報を誰よりも知っているウエディングプランナーが集客をする


── DBでは、いつごろから自社集客に注力し始めたのでしょうか?

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自社集客に本腰を入れ始めたのは2019年上半期ですが、自社集客に注力できる環境づくりを始めたのは、私がマーケティング部に配属になった2016年5月からになります。

私は他社でもウエディングの事業に携わってきたのですが、広告媒体で集客できるのは、最大でも全来館数の50~60%前後でした。つまり残りの40〜50%程度は、エージェントや自社ホームページなど、他のチャネルで集客する必要があります。当時の自社ホームページのパフォーマンスを見た時、自社ホームページでもっと集客できる可能性があるのではないか、と感じていたんです。

弊社は、全国23か所で施設を展開しています。各エリアで価格競争に巻き込まれないためには、地域一番店になってお客様が来てくださるブランドを育てていくことが重要ですが、マーケット状況はエリアによって大きな違いがあります。

エリアごとに大きく異なるマーケットの状況やカップルの志向性を把握できているのは、カップルと直に接しているウエディングプランナー。ですので、マーケティングにはウエディングプランナーにも関わってもらうことが大切です。自社集客を強化するときにも、まずプランナーの皆に「お客様に愛されるブランドをつくりましょう。そのためには皆がブランドを育てる意識が重要です」とお伝えしました。

── DBでは、結婚式をつくるウエディングプランナーが集客にも関わっているんですね。

そうなんです。私がいつも大切にしているのは、マーケティングとはお客様が起点である、ということ。ではお客様の情報を社内で最もキャッチしている存在が誰なのかといえば、会場でお客様と接しているプランナーの皆なんです。

ですから弊社で集客の主役を担っているのは、あくまでプランナーです。私たちマーケティング部は黒子として、月次の成果を伝えたり、分析したり、俯瞰で確認したほうがいい部分をチェックしたり、主役であるプランナーの皆が楽しく気持ちよく動けるようサポートしています。

とはいえ、私が現役のプランナーをしていた当時とは比べものにならないくらい、プランナーの業務量が増えていることも確かです。プランナーが集客業務に時間を割ける環境整備と意識改革を図るために、2~3年かけてコミュニケーションを積み重ね、1年半前からやっと本腰を入れて自社集客に注力できる環境が整ってきました。

プランナーと一緒に「自社集客」を推進していくために、まずは環境を整備した


── プランナーの方は集客業務として、何を担当しているのでしょうか。

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自社ホームページへの流入経路を分析した上で、お客様にいちばん近いプランナーに何を担ってもらうと効果的なのかを考えた結果、現在は、Instagram運用、お客様の結婚式をご紹介するウエディングレポート、ブログ、フェア、プランの更新など、Webマーケティングの仕事を担っていただいています。
他にもお客様にクチコミを書いていただけるようにご案内したり、SNSのフォロワーを増やす施策を検討・推進したりといった業務も、プランナーだからこそのアイデアが活きる領域だと考えています。

── プランナーのみなさんは、ご自身たちが集客もやることに当初から意欲的でしたか?

メインの仕事は結婚式をつくることですから、当初はやはり「忙しいから、集客に関しては専門の部署でやってほしい」と声が挙がっていました。その声も理解できるのですが、そのとおり分業にしてしまうと、せっかくお客様の声をいちばん近くで聞いているプランナーと集客担当との間にワンクッション挟むことになってしまい、施策や商品・サービス改善への反映が遅くなってしまいます。
また、若いうちは幅広く様々な業務を担うことで、将来役立つスキルを身に付けた方がいいと自身の経験からも感じているので、社会人としての成長のためにも意義があると考えています。

ではどうすれば、プランナーが集客も担当できるようになるのかを考えた結果、まずは実現するための環境を整備していくことにしました。

具体的には、プランナーの業務を効率化するシステムを導入することでデスクワークの時間を短縮したり、マーケティング部のメンバーとの振り返りミーティングや勉強会を実施したり。今年に入ってからは、動画教材「集客カレッジ」を制作して、いつでもどこでも学べる機会をつくったり、というようなことです。
「自社集客を一緒にやっていきましょう」というメッセージを込めた社内向けの発信も続けています。

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社内向けの動画教材「集客カレッジ」を少しだけ見せていただきました。



── 具体的に、社内向けにどのような発信をしているのでしょうか。

弊社の代表の言葉で「楽しくなければ、やったところでしれたもの」があります。「楽しさ」が大切なので、どのように伝えたらプランナーにお客様を呼び込む楽しさを感じてもらえるかを、常に考えながら社内向けに発信しています。

たとえば、社内キャンペーンの実施です。フォロワーを増やしたりウエディングレポートをアップしたりするキャンペーンで、楽しみながら自社集客に取り組んでもらっています。それから、具体的に集客につながった事例を共有するときもありますね。自分たちが考え、実施した施策で集客につながっていると実感してもらえたら楽しくなると思うので。

「これは!」と思って発信してみても、あまり伝わらずに響かないこともあるのですが(笑)、言葉や伝え方にこだわり、常に試行錯誤を繰り返して、伝わるまで発信し続けています。

前年比117%の集客数を支えたのは、やっぱり「お客様視点」


── 自社集客に注力し始めてから、実際にどのような成果が出ていますか?

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コロナ禍で集客数がマイナスと言われているなかで、自社ホームページの実績は2020年10月、前年同月比117%の集客数を実現できました。全体の集客のなかで自社ホームページ経由の来館シェアが2年前と比べて30%アップしていますし、少しずつ効果が出ています。

ブランディングの体制が整って自社集客に注力できるようになった1年半前から、自社ホームページ経由のお申込に対するベストレート保証(DBでは「ベストプライス」と表現)の訴求も始めました。

ただ、自社集客において最も重要なのは、お客様の視点から離れないでいることです。お客様は素敵な結婚式をしたいというモチベーションで会場探しをしている中で、「百〇万円オフ」という情報を本当に求めているのか、私たち業界にいる人間の感覚が麻痺していないか、常に気を付けていたいと思っています。

── 確かに「集客」に意識がいきすぎると、顧客を置いてけぼりにしてしまうことはありそうです。

コロナ禍で特に感じたのは、お客様が「何のために結婚式をするのか」という軸を持てていないと、挙式をする決断が揺らいでしまわれるのだなということ。逆に言えば、お客様が挙式する目的や意義をプランナーが汲み取って提案できたら、形を変えても大切にしたいことを大切にできる結婚式を実現できるはずです。

そのためには、何よりもプランナーの人材育成が欠かせません。ひとりのお客様が「こういうことができますか」とおっしゃったら、その後ろには同じような要望をお持ちのお客様がたくさんいらっしゃるかもと想像して、要望を叶えるプランをホームページで紹介する。そういうことに敏感でいられる人材をこれからも育成していきたいです。

「お客様視点」でのマーケティングを継続するために、現場のプランナーと対話を続ける


── DBのマーケティング部として、今後どのようなことに力を入れていきたいと考えていますか?

これからもプランナーの皆がお客様視点に寄り添いながら、集客のための施策のヒット率を高めていけるように、PDCAのスピードを早めていきたいと考えています。

最近手応えを感じているのはウエディングレポートが全店で総計1,000組分に到達したことです。弊社のウエディングにおける強みは「テーマ性」ですから、ひとつひとつのレポートが弊社にとっての資産だなと考えています。実際にレポートをご覧になって来館される方も多いんです。

「自社集客」にも効果的なウエディングレポートですが、レポートをたくさんアップしてくれているプランナーが「ウエディングレポートは未来のお客様のためだけではなく、結婚式をしてくださったお客様への感謝の気持ちをカタチにできるものだからこそ、これからもお客様にお声をかけていきたい」と教えてくれて、目から鱗が落ちるような思いでした。

私たちマーケティング部も「集客」をこれから出会うお客様とのコミュニケーションととらえ、プランナーが今何に興味を持っていて何をやりたいと思っているのかをタイムリーに把握し、そしてプランナーを通じてお客様の声に耳を傾けるようなイメージで対話を続けていくことで、商品力や提案力を高めていける強いチームを作っていきたいです。

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(取材・文:菊池百合子 / 写真:伊藤メイ子 / 企画編集:ウエディングパーク

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