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50年以上続く業界専門誌「週刊ホテルレストラン(HOTERES)」が捉えた、コロナ禍におけるホテルの今とこれから 【#ミライケッコンシキ Vol.10】

新型コロナウイルス感染拡大により、世の中が大きく変わりつつあります。個人の価値観が変化し、それに伴ってさまざまなサービスがアップデートされるなか、これからウエディング業界にも変化が生まれていくことは想像に難くありません。

では、未来の結婚式はどうなっていくのでしょうか。シリーズ「#ミライケッコンシキ」では、「ミライの結婚式のために、イマ私たちができること」をテーマに、ウエディング業界に携わる方々にオンラインで取材しています。ミライの結婚式、一緒に考えてみませんか?

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今回取り上げるのは、ホテル・レストラン業界の専門誌「週刊ホテルレストラン」(以下、「HOTERES(ホテレス)」)です。ホテルの機能である宿泊、宴会、披露宴だけでなく、最近ではホテルが地域で担う役割にも目を向けています。

コロナ禍でも毎週発行を続けてきたHOTERESは、苦戦を強いられる業界にどのような発信をしているのでしょうか。HOTERESの発行元である株式会社オータパブリケイションズ 執行役員 山下裕乃さんに、お話をうかがいました。

(※ このインタビューは、2020年7月22日にオンラインにて実施しています)


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■ プロフィール
週刊ホテルレストラン(HOTERES)

1966年に創刊された、ホテル・レストラン業界唯一の専門誌。毎週約15,000部発行している。Webでは「週刊ホテルレストランオンライン」を展開。出版・販売元である株式会社オータパブリケイションズでは、HOTERESの発行の他に、ホテル業界への就職を目指す学生のサポートや、ホテル情報を網羅する総合検索システムの構築など、ホテル・レストランに関わるさまざまな事業を手がけている。
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時代に合わせてあらゆる角度からホテルに関する情報を発信

── 「HOTERES」とは、どのような媒体なのでしょうか。

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2020年で創刊54周年を迎えた、ホテル・レストラン業界の専門誌です。週刊誌として、お盆とお正月以外は毎週発行を続けてきました。タイトルを「週刊ホテルレストラン」としていますが、読者の過半数がホテル関係者で、どちらかというとホテルの比重が大きい媒体です。

そしてホテルを軸にしながら、時代に合わせてテーマを変えています。創刊当初はホテルの持つ機能のなかでも宿泊の記事が多くありましたが、10年前からホテルにおける宴会と披露宴を組み込んでいきました。最近だと「地方創生」も取り上げています。

── ホテルを軸にした週刊誌で「地方創生」のテーマが出てくるとは、意外に感じます。

年に3〜4回特集を組むほど注力しているテーマの一つです。私は地方創生において、ホテルの存在がキーになると考えています。ホテルは外から人が集まるだけでなく、地域の人も集まれる「プラザ」です。これからホテルは地域の拠り所になっていくことでしょう。

今後のホテルは、宿泊する場所、食べる場所としての機能だけでなく、人の動きを生み出す「ステーション」としての役割が求められると思います。ホテルを軸に観光してもらったり、地域で暮らしている人とコミュニケーションできるきっかけを提供したりするホテルも増えていくかもしれません。

ですからホテルと地方創生をテーマに、行政や金融機関、農業に従事する生産者、地域の文化など幅広く取材しています。

── HOTERESでは取材を重視されてきたかと思うのですが、緊急事態宣言が発表されて取材が難しくなってからは、どのように運営していたのでしょうか?

発行の体制としては、緊急事態宣言の期間中でも変わらず週刊です。特集に即したホテルやレストラン、その他業界関係者からの寄稿を増やしたので、結果的に4〜5月は読みものが多くなりました。

それから緊急事態宣言を機に、会員制の「週刊ホテルレストランオンライン」の記事を3ヶ月間無料で読めるようにしました(※ 現在終了)。状況が日々変化していくコロナ禍で、紙媒体の情報発信を補うための施策です。

── コロナ禍を通じて、情報の発信方法を変更した部分はありますか?

紙媒体、Webメディア、約3万人にお届けしているメールマガジン、Facebookを組み合わせ、これまでよりも各媒体の強みを活かした発信をできるようにしました。

たとえば取材が減少した緊急事態宣言中は、最新ニュースをカバーするのはWeb。ニュースは紙媒体だとスピードが追いつかないので、古くならないインタビューや読みものを掲載しました。普段と違って取材記事が少ない紙媒体で、いかに読み応えのあるものをつくれるかに注力しましたね。

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コロナ禍で浮き彫りになった結婚式場の問題と、対応の差

── ホテルやレストランは新型コロナウイルス感染拡大の影響を強く受けているかと思いますが、山下さんは業界の変化をどう見ていらっしゃいますか?

4月初旬に全国での新規陽性者数が300人を超えてから、ホテルの宿泊、宴会、ウエディングすべてがストップし、一気に厳しい状況になりました。そのなかで発生したのが、結婚式のキャンセルや延期に関するお客様とのトラブルです。

キャンセルなのか延期なのか、料金が発生するのかしないのか。通常であれば約款どおりに対応できますが、非常事態では型にはまった約款では対応しきれません。さらに各社の対応がSNSで拡散され、トラブルの悪化につながっていたように思います。

── トラブルの要因として、ウエディング業界はどのような問題を抱えているのでしょうか。

ウエディングにおけるパッケージ化された商品に問題があると思います。非常事態で柔軟に対応できないだけでなく、細かな規定が不明確であることも露呈しました。

たとえばお花であれば、いつから仕入れ準備をするのか、何日間なら鮮度を維持できるのか。衣装であれば試着がありますから、接客を何回したのか。これらの条件によって、どの段階でキャンセル料や延期料が発生するのかが変わりますよね。それでも無理にパッケージ化していたので、一連のトラブルによって、準備や打ち合わせの時間だけ費やしたもののお金が入らなかった企業もあったかもしれません。

そもそも多様化するお客様の傾向にパッケージが合っていないですし、関係者全員が困らない仕組みを考えるには、これまでとは異なる契約スタイルを考えていく必要があります。料理、衣装、会場装飾など、あらゆる点において関係者もお客様も納得できるようにつくりあげていくべきです。

── 一方で、これまでウエディング業界の課題としてよく言及されていたIT化については、オンラインによる式場見学が一気に普及したのではないでしょうか。

式場によって差が大きいので、一概に「オンライン化に対応できている」とは言い切れないと思います。さらにオンライン見学を導入できたとしても、これまでとは異なるスキルがプランナーさんに求められていますね。

なにしろ式場に来ていただく見学対応と違い、カップルは自宅から見学しているのでリラックスできますし、値上げされる怖さもありません。合わないなと思ったら通話を切ってしまえばいい。そのような難しい状況で、プランナーさんはカップルから信頼を獲得する必要があります。

たとえば八芳園であれば、オンライン見学におけるヒアリング事項を絞り、見学時間を20分で区切った結果、成約率が高いようです。お客様のことを考えられる式場とそうでない式場の差がますます広がっていくと思います。

── 新型コロナウイルス感染症によって生活スタイルが大きく変わりつつある今、式場に何が求められていくと思われますか。

安心・安全・信用です。今後ますます、式場見学においてオンライン化が浸透していくでしょう。これまでの式場選びでは、「この人とぜひ一緒に式をしたい」と案内してくれたプランナーさんのキャラクターが決め手になっていました。しかしオンライン化が進めば、キャラクターや能力よりも、明快に説明してくれて信用できるプランナーさんであるかどうかが、最重要になっていくと思います。

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ホテル業界の未来のために、HOTERESが羅針盤になる

── 新型コロナウイルスの流行後に発行されたHOTERESのなかでも、2020年7月17日号の特集「ホテルの躍進は広報大改革にあり」が印象的でした。ホテルが営業できなくなって広報の仕事が減ったかのように見えるタイミングで、あえて広報の特集を出されたのはどのような理由があったのでしょうか。

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緊急事態宣言の発表によって対面の取材ができなくなったものの、ホテル業界の方々と連絡を取ったり、電話やオンラインでお話をうかがったりしてきました。そのなかで経営者から多く耳にしたのは、ホテルの休業期間中に社員にどう業務を担ってもらうのか、という問題です。

サービス業はお客様ありきですから、現場に出られなければサービススタッフは仕事ができません。広報や営業などのバックヤードの社員についても、ホテルの休業期間中にどんな役割を担ってもらうべきか、そもそもホテルを再開した後にこのポジションが必要なのかどうか、経営者から悩みをよく聞きました。

このようにみなさんから聞かせていただいた悩みや、コロナ禍によって浮き彫りになったホテルの問題を反映させたのが、6〜7月の特集です。広報特集についても、テレワークの期間中に経営者から広報の業務に対する疑問を多く聞いたため、役割を考える必要があると思ったんです。

── 情報発信がますます重視されるコロナ禍において、「広報はホテルを存続させるために重要なポジションである」と明言された点に、業界誌を制作する山下さんの使命感が込められているように思いました。

業界誌の役割は、業界を伸びていく方向に案内する羅針盤だと私は思います。そのためには、わずかな動きをいち早くキャッチして、その変化はなぜ生じているのか、どのような意味を持つのか、推測と裏付けを取りながら結論を出す。時に誰かから嫌われるかもしれないメッセージであっても、今後の業界に必要な発信を続ける。これが私の仕事だと思って、これからも続けていきます。

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(取材・文:菊池百合子 / 写真:土田凌 / 企画編集:ウエディングパーク)

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