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オンライン新規の成約率100%を達成。八芳園のお客様満足度を支えた秘訣は「チーム力」にあり【#ミライケッコンシキ Vol.5】

新型コロナウイルス感染拡大により、世の中が大きく変わりつつあります。個人の価値観が変化し、それに伴ってさまざまなサービスがアップデートされるなか、これからウエディング業界にも変化が生まれていくことは想像に難くありません。

では、未来の結婚式はどうなっていくのでしょうか。シリーズ「#ミライケッコンシキ」では、「ミライの結婚式のために、イマ私たちができること」をテーマに、ウエディング業界に携わる方々にオンラインで取材しています。ミライの結婚式、一緒に考えてみませんか?

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今回取り上げるのは、株式会社八芳園の取り組みです。緊急事態宣言の期間中に営業を休止し、その間に「オンラインウエディング相談会」をスタート。新規の見学と打ち合わせにオンラインツールを取り入れ、営業休止中も新郎新婦が結婚式の準備を進められるようにサポートしてきました。

企業活動を再開する2020年6月1日に合わせ、安心安全を可視化する32のピクトグラムと新しいスローガンを発表。「これから、を歩む。」「あなたと生きる、地球を想う。」と2つのコピーを掲げました。

この言葉を掲げた今、八芳園はこれからどのような歩みを進めるのでしょうか。婚礼課マネージャー・ブライダルアドバイザーの湯村奈央さんにうかがいました。

(※ このインタビューは、2020年6月11日にオンラインにて実施しています)

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■ プロフィール
株式会社八芳園

1952年に料亭として設立されて以来、77年間の歴史を築いてきた。江戸時代初期から守られてきた日本庭園が特徴で、「四方八方どこから見ても美しい」ことが由来。「日本のお客様には心のふるさとを。海外のお客様には日本の文化を」というビジョンを掲げ、おもてなしの精神を発信している。
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オンライン化により、打ち合わせの時間と回数が大幅に短縮

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── 八芳園では、緊急事態宣言中に「オンラインウエディング相談会」をスタートされていましたね。

緊急事態宣言の発令後、すぐにプランナーにパソコンとスマートフォンが付与されて、在宅ワークがスタートしました。式場の予約を検討されている新規のお客様からのご相談と、すでに予約をされているお客様とのお打ち合わせをオンライン化するために、急いで仕組みを整えたんです。

── オンライン相談会をスタートされてから、お客様との関わり方はどう変化しましたか?

私たちも驚いたのですが、新規のお客様がご成約されるまでのプロセスも、すでにご予約いただいているお客様とのお打ち合わせも、回数、時間ともにかなり短縮されたんです。

例えばこれまでは、初めてご来館されてからご成約までに、平均で3回は式場にお越しいただき、総計で約10時間かかっていました。でもオンライン相談会の場合、ご実際にご来館いただくのは最後の1回のみで、それまでのお打ち合わせも含めて合計4時間に短縮できたんです。

── これまでのやり方と比べて、大きな変化があったんですね。

私たちも驚きました。オンラインでやるべきことを絞り、相談会のゴールをご成約ではなく「お二人へのご提案」に設定したことと、お打ち合わせの前後にもテキストで情報を共有できたことが、時間の短縮につながったと考えています。短縮できた分、結婚式の価値をお伝えすることに時間を費やせました。

結果、オンラインでご相談された方のうち、営業を再開してからご見学を経てご成約されたお客様の割合が100%だったんです。オンラインでもお客様にご満足いただけたかな、とほっとしています。

結婚式のプランをまとめた、世界に一つだけの提案書


── オンライン相談会では、お客様とどのようにコミュニケーションされていますか?

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お申し込みいただいたら、まずはプランナーがヒアリングをします。式の日時やゲストの方へのおもてなしに関する条件をうかがったら、今度はお二人のこと。出身地やお二人の出会い、お名前の由来、家族構成などのバックボーンをたくさん聞かせていただきます。

最後に、結婚式を挙げる上で望まれるサポートについても確認します。「結婚式を開くのは不安だな」と戸惑うお客様に対して、私たちは一点集中で「お二人のサポーターであることをお約束します」とお伝えしてきました。不安やお困りごとを共有していただけるように、プランナーが注力してきた部分です。

この3つのヒアリングは最短で20分、長くても40〜45分におさまるようにしました。ご自宅からストレスなくご参加いただけます。

── 次はどのようなステップに進むのでしょうか?

オンライン化に合わせて、現場経験のあるプランナーで「提案書作成チーム」を立ち上げました。ヒアリングを担当したプランナーはお客様からうかがった内容を企画書にまとめ、提案書チームに託します。このチームがお客様に式のプランをご提案するプランニングシートを作成するんです。

提案書チームは企画書を読み込んで、式のコンセプトから設計します。同時に料理人や空間プロデューサー、アルバム担当、お花担当などの各部署にも、ヒアリングの内容を伝達。お料理のメニューを開発したり、お花のイメージをデッサンしたりと、お客様に合わせてそれぞれが検討を重ね、15ページほどの提案書にまとめます。

最後はヒアリングを担当したプランナーがお客様に内容をご説明し、気に入ってくださったら一度ご来館いただきます。私たちも「ようやくお会いできましたね」と嬉しいですし、お客様も「このプランをぜひお願いしたいです」とご成約に移られる方ばかりです。オンラインでもお客様との信頼関係を築けるんだ、と思えました。

── オンラインで相談された方のご成約率が100%とのことでしたが、満足度が高い理由はどこにあるとお考えですか?

やはり提案書ですね。ベテランのプランナーたちが一組ずつオリジナルで作成しているので、クオリティーが非常に高くて。結婚式がトータルで可視化されるので、「結婚式のイメージが当日まで持てない」という課題もクリアされます。

結果、提案書をお見せしたら「こんなことができるんだ!」「まさにこういうことをやりたかったんです」とお客様に感動していただける場面が多くありました。

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お客様の満足度向上と在宅ワーク導入の鍵は、チーム間の連携

── オンライン相談会の流れをうかがっていると、ヒアリングにおけるプランナーさんと提案書チームのスキルが重要になりそうだと思いました。

そうですね。プランナーのヒアリング力を高めるために、Zoomで研修を実施しました。ヒアリングで提案書の精度が変わりますから、限られた時間でいかにお客様の思いを引き出すのか、みんなで勉強したんです。

研修を踏まえ、在宅期間中は勤務の1時間を使って、毎日ロールプレイングで練習しました。6〜7人のチームをつくり、プランナー役とお客様役を決めて、他のメンバーは「こうしたほうがよかったよ」とシビアに伝える。そうしてプランナー全員でヒアリングのスキルを磨きました。

そしてヒアリング担当が書いた企画書からお客様の思いを読み取れるように、提案書チームは何度も企画書を読み込んでくれて。お客様の背景に思いを馳せ、自分がお客様への提案を担当するかのように、結婚式の世界観に没入していました。

── 部署を超えた横の連携が、かなり重要ですね。

そのとおりです。ヒアリング担当と提案書担当の間で、何度もブラッシュアップミーティングをしました。プランナーは、自分がこの結婚式をどうイメージしているのかを話す。提案書が完成したら、もっとお客様に寄り添った提案をできるのかをプランナーと調整する。このようなやりとりを重ねました。

── 八芳園のチーム力が伝わってきます。

そうなんです、私たちの一番の強みは「チーム」です。お互いに信頼しているからこそ、プランナーは自分がヒアリングした内容を提案書チームに託せますし、プランナーからバトンを受け取った提案書チームも、音楽や料理、お花のスタッフもみんな、真摯にお客様と向き合ってくれます。

── とはいえ慣れない在宅ワークでコミュニケーションにおいて難しさもあったかと思うのですが、何か工夫したことはありますか?

在宅ワークを始めた当初は、メンバーが何を不安に思っているのか気づきにくいことに苦戦しました。コンタクトポイントを増やすしかないと考えたので、全体とは別にチーム単位でも朝礼・夕礼を開いて、その場で不安を吸収。マネジメントのメンバーも毎日ミーティングして、メンバーが抱えている課題とクリアするための方法について議論を重ねてきました。

在宅ワークとオンライン化によって、横の連携がしやすくなったかもしれません。時間の余裕ができた分、お客様にはもちろんですが、仲間に対しても自分が何をできるのかを考えて、それぞれが行動に移してくれたんです。物理的には離れていても、メンバーとオンラインでつながっていられることが一番の支えでしたね。

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これからも「一番のサポーター」であるために

── 6月1日から営業を再開されて見学希望が増えそうですが、どのように対応されていますか?

休業中にオンラインでご相談いただいていたお客様と、新たにご相談いただくお客様のご見学を、6月からスタートしています。お二人だけでお食事を召し上がっていただけるように、八芳園の庭園をサロンとして最大限に活用した形式のフェアです。

お客様の安心・安全と時間の有効活用のために、これまで3時間以上かかっていた新規のご見学を75分に短縮しました。ヒアリングと会場見学、お食事のみをご案内し、あとはオンラインでご相談やご成約に進む流れです。

── オンラインでの時間短縮のお話がありましたが、徐々にオフラインも可能になってくるなかで、今後の課題をどう考えていますか。

今後ご見学されるお客様の人数が戻ってきたとき、休業中に時間の余裕があったから実現できたことを続けられるかが、一番の課題だと思っています。せっかくスタッフのスキルも上がり、オンライン化でお客様の負担を軽減できると分かったので、提案書の作成などをどう続けていくかは検討中です。

── 八芳園は6月に「これから、を歩む。」「あなたと生きる、地球を想う。」という新しいコピーを掲げ、再スタートを切りました。チームの一員として、今後どう歩んでいきたいですか?

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八芳園ホームページより

オンラインでの出会いとつながりを、創造的にプロデュースする必要があると感じています。今回のコロナ禍で強く気づかされたのは、人と人とのつながりがもたらす喜びでした。直接会えなくなってしまったとき、オンラインでもつながっていると感じられるかが重要だと考えます。

結婚式でいえば、これからもプランナーがお客様にとって一番のサポーターであるために、コミュニケーションをどう設計していくのか。これが今後の私たちに課されたミッションだと考えているので、チーム間で連携しながら「これから、を歩む。」体制をつくっていきたいです。


(取材・文:菊池百合子 / 写真:土田凌 / 企画編集:ウエディングパーク

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