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価値観の多様化に応える。絶対的な魅力や価値を「自社集客」に繋げるプリオの施策【Wedding-UP CASE #009】

結婚するおふたりの式場検討時の情報収集源が多様化してきている今、ブライダル業界で注目されているキーワードのひとつが「自社集客」です。予約機能のある中間サービスを通さずに、式場各社の公式ホームページなどから直接予約してもらう集客方法を指します。

式場が伝えたいメッセージは公式ホームページにこそ込められていて、その思いに共感した顧客とのベストマッチを叶えられるのが「自社集客」。
新型コロナがウエディング業界に大きく影響をもたらし、広告費を削減する傾向が強まっている今、顧客と式場双方にとって幸せなマッチング手法として「自社集客」はますます重要になっていくのではないでしょうか。

そこで結婚あした研究所では、自社集客に注力し成功している企業の事例(CASE)を紹介する新企画「Wedding-UP CASE 〜自社集客力を鍛える〜」を立ち上げました。各社がどのように自社集客に取り組み、その先に何を目指しているのかを聞いていきます。

今回取り上げるのは、東京・埼玉・栃木・群馬・長野でウエディング事業を中心に幅広くビジネスを展開するプリオホールディングス株式会社(以下、プリオ)。2020年7月にマーケティング本部を発足後、同年9月より自社集客の強化を開始。媒体メインの集客から自社集客に注力したことで確度の高いお客様からの問い合わせが増加、成約率もアップしたといいます。

マーケティング本部室長・執行役員の伊藤一成さんに、自社集客強化のきっかけや他業務と兼務するメンバーで構成するマーケティング本部についてうかがいました。


■プロフィール
プリオホールディングス株式会社
1952年「大村」(群馬県伊勢崎市)というおそば屋からスタートし、今では関東を中心にウエディング・レストラン事業を幅広く展開。『夢と感動』という企業理念に基づき、多くの人たちの「絆」と「感謝」の気持ちがあふれる結婚式を数多くプロデュースしている。公式サイト


自社集客でプリオの価値を最大限に届ける

――これまでの集客について手法や課題をお聞かせください。

これまでは基本的にウエディング関連のWeb媒体を中心に集客をしていました。どのような媒体が最適なのか試行錯誤をしながら、クチコミサイトを中心に主要媒体はひと通り利用したと思います。

媒体を活用する際は、他の式場と比較して「当社の場合はどんなことができるのか」など、相対的な視点を意識して運用していました。そのように取り組んでいると「競合に勝つためにはこうした方が…」「クチコミランキングで上位に入るためにはこうした方が…」など、手法や手段が目的化していることにある時気がつきました。そこが大きな課題に感じていましたね。

――自社集客強化のきっかけを教えてください。

2020年7月にマーケティング本部を立ち上げたことです。立ち上げの大きなきっかけは、コロナ禍でお客様の価値観の多様化が加速したこと。これは、実際にご来館いただいたお客様や、これから結婚式を挙げるお客様とお話をする中で感じたことです。近年は、来館前にしっかりと情報収集をされるお客様が増えていることもあり「今までと同じWeb媒体だけでは、お客様のニーズに合わせた情報を十分に打ち出していくことが難しい」と感じました。そこで、自社ホームページを活用した“自社集客”に力を入れるようになったのです。

――コロナ禍において、具体的にお客様のどのような価値観の変化を感じられたのでしょうか?

特に多かったのは「コロナ禍だし、結婚式は挙げないべきなのでは…」という意見です。しかし本心を深堀りしていくと、「挙式が難しくても記念に写真だけは残したい」という方や「結婚式で高齢の家族を移動させるのが不安」という声があがってきました。このようなお客様の声を拾い上げ、おふたりの思い出の場所や大好きな場所に出張してウエディングをプロデュースする「旅するウエディング」が始まりました。中には、お客様のご自宅でウエディングを実施することもありましたね。コロナ禍以降も、時代の変容とお客様のニーズに合わせたサービス展開が大切になってくると考えています。

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「旅するウエディング」公式サイトより

現場目線のマーケティングで予約率向上

――自社集客強化のきっかけとなったマーケティング本部立ち上げの背景や、気づきをお聞かせください。

立ち上げ当初、マーケティング本部のメンバーは3人くらいでしたが、現在は15人ほどで構成されています。「少人数の方が小回りが効く」と、当初は考えていましたが、全国15店舗からの情報連携がうまくいかない…という壁にぶつかりました。そのため、エリアごとに代表メンバーを選出し、週1回のミーティング、チャットツールや進捗管理ツールなどを活用した情報共有を実施しています。手段が目的化しないよう、全体を俯瞰しながら進めることを重視しています。

また、これまで店舗やエリア単位だった宣伝広告費をマーケティング本部に委譲しました。マーケティング本部で統括することで、全体の数値や目標達成から逆算した効果的なアプローチにつながる仕組みづくりが進んでいます。

――マーケティング本部のメンバーは専任ではなく、他の業務と兼務されているとうかがいました。兼務ならではのメリットはありますか?

メリットは3つありまして、ひとつめは「スピード」です。マーケティングの基本である“お客様の声を最前線で聞いている”スタッフが多いため、現場の声を拾い上げてからすぐに実行に移すことができるのは大きなメリットです。お客様の声を聞き、「同じように考えているお客様が潜在的にもっといるのではないか」という視点でチャレンジを繰り返しています。

ふたつめは「視野の広さ」です。本社で数字を見るだけではなく、お客様と接するスタッフだからこそ感じ取ることができる現場の温度感や熱量など、視野の広い情報が得られる点も兼務ならではのメリットだと感じています。

そしてさいごは「新たなアイデアが生まれること」です。当社ではウエディング事業以外にレストラン運営を行っているのですが、レストランにご来店いただいたお客様からも結婚式に関するお問い合わせをいただけるようにすると良いのでは?と現場からアイデアが上がりました。そこで、サービスを提供しているキャストの名刺を作成したのです。すると、実際に名刺を渡したお客様から結婚式に関するお問い合わせをいただくケースが複数発生。この場合、すでに接点がある状態でのスタートになるためお客様のエンゲージメントも高く、成約率も高い結果が得られています。このように、これまでの集客手法とは異なる視点のアイデアも、日頃から現場で働いているからこそ生まれるものだと思っています。

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レストランウエディング会場「メゾン プルミエール」の公式サイトより

―― 一方で兼務だからこそ業務の負担が増えるといったデメリットもあるのではと思いますが、その点はどう考えていらっしゃるのでしょうか。

正直、負担はあるでしょう。ただ、社風もあるかもしれませんが、この負担をどう楽しめるかを考えられるスタッフが多いとも思っています。というのも、自分の現場だけでなくマーケティング本部を通じて横のつながりができたからこそ、メンバーそれぞれが自分ひとりで背負い込まずに他のスタッフも巻き込こんで一緒に解決していく変化が起きているのです。

マーケティング本部が立ち上がって以来、コロナ禍もありオンラインミーティングがほとんどでしたが、最近メンバーと直接対面で会う機会がありました。そのときに、ことばでは表現しきれない“あったかい絆”を改めて感じると同時に、マーケティング課題を共に解決し、多くのカップルの幸せを共に創出していこうと全員の目的が一貫していることも認識できました。個人の業務量が増えるだけでは意味がありませんが、課題解決の方法をアップデートしていくことで結果的には効率化にもつながっていくという考えです。

――自社集客強化における効果やお客様の反応の変化などを教えてください。

これまでは集客の8割を媒体に頼っていましたが、現在は媒体集客と自社集客で50:50ほどになってきており、媒体集客よりも自社集客の方がお客様の満足度が高いというデータも出ています。また、成約率も自社集客を強化してから約7%アップしています。これまでは他の式場との相対的な基準で判断されるお客様が多い印象でしたが、当社の魅力やサービスに価値を感じてお問い合わせいただくお客様が増えたのもうれしい変化ですね。相対評価で来館されるお客様と、絶対的な価値に魅力を感じて来館されるお客様では、成約につながる確度も変わってくるのです。

全体戦略につながるプリオの企業風土とは

――御社はSDGsにも注力されているとうかがいました。SDGsへの取り組みも御社の絶対的な価値に繋がっているのですね。

当社はウエディング業界で初めてSDGs事業の認定を受けました。社内でもSDGsに繋がるサービス立案コンテストを実施し、優勝したチームのアイデアを店舗で実践。実は、そのイベントがきっかけで成約に繋がったケースもすでに出てきています。

また、近年はSDGsへの取り組みを強化している大学なども増えており、共同でプロジェクトを実施することも。学生の中には、将来的に「結婚」という選択をされる方が一定数いらっしゃる、つまりいつか当社のお客様になる可能性があるのです。そういった方々に、SDGsに取り組んでいるウエディングの会社があることを知っていただくきっかけにもなると思っています。各媒体で式場を探している人と全く違う層との接点をつくることができているのは、ひとつのポイントになっています。

今はまだウエディングとSDGsはつながりにくいと思われがちですが、今後はSDGsと絡めたエシカルウエディングが注目されるでしょう。SDGsは世界共通認識になりつつありますから、今後も率先して取り組んでいきたいですね。

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プリオが手掛ける「SDGsラボ」公式サイトより

――御社では「夢と感動」を企業理念に掲げ、「人財」にも注力をされています。企業風土と自社集客はどのような関係性があると感じられていますか?

「感動が生きる原動力になる」という考えを今は大切にし、感動創造企業としてお客様の感動を追求しています。しかし、自分たちが感動しないとお客様に感動を届けることができません。その感動のベースには当社のオーナーや社員が大切にする企業風土があると考えます。

当社のオーナーは、社員はもちろん社員の家族の誕生日やどんな人生を歩んできたのかを全て知っていますし、年に一回社員の家族を会社に招待する「家族会」も開催しています。「人財は宝」というくらい、社員一人ひとりをすごく大切にしている会社だと思います。

そこに共通しているキーワードは「ファン作り」です。社員だけではなく家族の皆さんにもプリオのファンになっていただけるよう大事にしているからこそ、お客様も大切にすることができ、結果的に感動を届けることができると考えているのです。実際に親御さんから当社の式場を紹介いただくケースも多いと思います。

結婚式をゴールとしない。人生が豊かになるお手伝いをしたい

――マーケティング本部としての今後の展望をお聞かせください。

現在当社では、DXを全面的に進めています。これまではお客様の動向や情報が点在していましたが、お客様の求めている情報を最適なタイミング、かつ一番良い方法で提供できる仕組み作りが目標です。

また当社はウエディングを中心に展開している企業でありますが、結婚式をゴールとしていません。新たにプロジェクトチームを作り、DXの仕組みと当社のリソースを掛け合わせて、結婚式以外の場面でもお客様に感動体験をお届けできるような取り組みを進めています。SDGsをはじめ、ウエディングに限らず視野を広げ、社会に目を向けた取り組みも継続しつつ、接点を持ってくださった方の人生が豊かになるように、一生涯を通じたお付き合いができる会社を目指したいですね。

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プリオ公式サイトより

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