業界初の「DX推進室」室長が描く、ウエディング×DXの可能性とは

業界初の「DX推進室」室長が描く、ウエディング×DXの可能性とは

「2025年までに予想される経済損失は、最大12兆円/年にのぼる可能性がある―(2025年の崖)。」2018年「DX(デジタルトランスフォーメーション)レポート※」内で、経済産業省は、企業のDX推進の難しさと、DX推進ができなかった場合のリスクについて公開した。

そして2020年春。世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大により、多くの企業がリモートワークを開始し、消費者の外出自粛による在宅時間増も相まって、「オンライン会議システム」や「SNSのライブ配信機能」などが企業でも積極的に活用されるようになった。ウエディング業界でも「オンライン結婚式」や「オンライン式場見学」などのような新しいサービスが誕生した。これから、あらゆる場面で、デジタル技術の活用がさらに加速していくだろう。
世の中は、そしてウエディング業界は、デジタル技術の活用でどのように変わっていくのだろうか。

このような状況を受けて、株式会社ウエディングパークでは、2020年5月29日にデジタル技術を活用したウエディング企業の変革を支援する組織「DX推進室」を立ち上げた。今回は、この「DX推進室」室長の岩橋聡吾氏に、本組織が担っていく役割、そして今後の展望を聞いた。

「DX推進室」に関するプレスリリースはこちら


ウエディング業界のDXを推進し、ウエディングビジネスの変革を牽引していく組織になる


DXとは「進化したデジタル技術の活用を浸透させることによって、人々の生活をより良いものへと変革させていく」ことを意味します。身近な例を挙げると、「リモートワーク」がこれにあたります。今まで物理的な紙や人、品物の移動などを伴って行っていた業務を、WebツールやAIなどのデジタル技術を活用することによって物理的なモノや場所から開放し、実現することができています。これはDX推進によるひとつの成果だといえるでしょう。

新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言の影響を受けて、最近は多くの企業でDX推進が一気に進んだ印象があります。2020年5月に開催されたMicrosoftの開発者向けイベント「Microsoft Build」の基調講演でも、Microsoft CEO(最高経営責任者)のSatya Nadella氏が「この2ヶ月で2年分のデジタル変革が起きた」と語っていました。外出自粛によって外食が困難な状況下でも、「宅配アプリ」を通じて自宅でレストランの料理を注文してもらえるようになったり、出社ができない=契約書等の押印対応が困難な状況下でも「電子契約サービス」で新しい業務が進行したり…。既に様々な場面でDXが実現されています。

しかし、企業活動のなかにはまだまだデジタル化が進んでいない領域や、現在の業務プロセスに合わない古いシステムも残されています。経済産業省が発表した「2025年の崖」にもあった通り、DXを実現しようとしたとき、既存システムが推進の障害になることもありますので、局所的な課題解決に加え、業務プロセスなどを含めた全域的な課題解決が必要です。


業界の「2025年の崖」を解決し、ウエディング業界を、もっと幸せにしていきたい


ウエディング業界のデジタル技術活用については、正直なところ、遅れ気味であるという印象を受けています。例えば、カップルと結婚式の打ち合わせをする際に、ITツールを活用する企業がある一方で、紙とペンで打ち合わせをしている企業もあります。この現状も、DXの観点から考えると、今後改善すべきポイントのひとつになります。
直近でいうと、新型コロナウイルスの影響で「オンライン下見」や「オンライン打ち合わせ」の導入をせざるを得なくなった式場はたくさんあると思います。その際、以前よりITツールの導入を推進していた企業とそうではない企業とでは、どうしても移行後の業務スピードや接客方法に差が生じます。

デジタル技術の活用が進み、モノや場所から開放された未来では、消費者の価値観がこれまでとは変わる可能性がありますし、生活スタイルも多様化していくでしょう。それによって「結婚式におけるユーザーニーズの変容」や「競合環境の変化」なども起こるかもしれません。
これからどんな未来が待ち受けていたとしても、お祝いの文化である「結婚式」の本質的な部分は変わらないと思います。ですが、形式や選択肢は変わるかもしれません。時代に合わせて「結婚式」の価値を高め続けていくため、デジタルの力で解決できることと、人がやるべきことを見極めていくことが大切になっていくでしょう。

当社が「DX推進室」を立ち上げた背景には、ウエディング業界において「デジタル技術での変革を“実行する”」という重要な役割を牽引していきたいという思いがあります。
まずは、当社の営業担当者と一緒に現場のニーズや課題を直接お伺いすることから始めていきます。
システムエンジニアである私自身が、業界の皆さまと直接お話させていただくことで、当社が既に持っているノウハウやナレッジを活かしながら、スピード感を持ってご支援していきます。

ウエディング業界で多数のDXが実現されていき、あらゆる業務の効率化を図ることができれば、業界ならではの「感動体験の質」をさらに高めることができると考えています。ウエディング業界だからこそ、デジタルテクノロジーと人間が共存することが、今後非常に重要になってくるのではないでしょうか。
当社の経営理念「結婚を、もっと幸せにしよう。」には、結婚されるすべてのカップルとウエディング業界で働くすべての方々の幸せを追求し続けていきたいという思いが込められています。
DXを推進していくことで、皆さまと一緒に業界の幸せを追求し続けていきたいと思っています。

※:経済産業省『DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~』
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/20180907_report.html


■プロフィール
株式会社ウエディングパーク アドテク本部 システムマネージャー 兼 DX推進室 室長
岩橋聡吾(いわはし そうご)

2016年、株式会社ウエディングパークに中途入社。メディア開発本部に配属となり、社内のセキュリティ周りを中心にシステムエンジニアとして活躍。
2017年にシステムマネージャーとなり、2019年より「AI Lab」所長を兼務。
2020年5月より「DX推進室」の室長に就任、現在に至る。

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