マーケティング・集客
2017.10.30
スマホで式場探しをする時代、ブライダル業界のネット集客戦略。2018年の注目トレンドは”位置情報”
若い人を中心に情報収集源のスマートフォン化が加速するトレンドは、雑誌が強いイメージがあった「結婚式」のシーンも例外ではない。それに伴い、雑誌やテレビなどマスメディアを利用し集客を行ってきたブライダル企業においても、デジタルマーケティングのニーズが高まってきている。来たる2018年に注目すべきポイントはどこなのか。
今回は、株式会社ウエディングパークで業界初となるアドテクノロジー専門部署「WedTech推進室」を2014年7月に立ち上げ、今年10月に新設された「アドテク本部」の本部長に就任した大竹氏に、スマホで式場探しをする時代のブライダル業界のインターネット集客戦略について聞いた。
ブライダル業界のデジタルシフトは、他業界に比べると大きく遅れをとっている
インターネット広告は日本では約20年前に誕生し、その市場規模は1.3兆円を超えています。そして、2020年に広告費はネット広告がテレビを抜くと言われています。世の中的にはネットは広告の主軸になりつつあるのに、ブライダル業界では、まだまだ活用されていません。そんな中で、特に私が課題だと感じていることは、大きく2つです。
まずひとつ目が、出稿主側の課題です。
いま、結婚式を検討する花嫁さんは、普段スマホを通じてインターネットで情報収集しています。しかし、結婚式場の集客マーケティングは、従来雑誌中心であり、その習慣がいまだに残っています。さらに、今までは雑誌にだけ出稿していれば集客ができていたため、出稿側(結婚式場など)のネット広告の知識やスキルなどを学ぶ場がほとんどない。
結婚式場探しのスマートフォン化が進むいま、スマホに広告を出してコミュニケーションとることは自然なことなのに、それが実現できる状況になっていないんです。
ふたつ目が、ブライダルのマーケティング市場の課題です。結婚式場向けに専門的な知識を持ってネット広告を提案したり、運用したりするサービスがないので、インターネット広告の活用が進んでいきづらい業界構造になっていたことです。
株式会社ウエディングパークでは、10月に新部署となる「アドテク本部」を立ち上げました。「アドテク本部」では、今までウエディングパークが培ってきた、ブライダル業界におけるネットの知識をいかし、インターネット広告にまつわるナレッジやノウハウを、結婚式場側にきちんと提供し、効率的に運用できる仕組みづくりのお手伝いをしていきたいと考えています。
スタッフは、大手広告代理店や、大手検索エンジン出身者など、インターネット広告のノウハウや知識を持っている人、また、結婚式場で働いていた経験がありブライダル業界に精通している人や、花嫁ターゲットに近い年代でインサイトがわかる人など、各分野でのスペシャリストが揃っています。今も採用を強化しており(2017年10月現在)、今後はもっと増やしていきたいと思っています。
2018年ネット集客の注目トレンドは”位置情報”
ウエディング業界のような、実際にリアルの店舗を持つ業界には新しいリアルなユーザーデータを元に、より適したコミュニケーションが取れる状況になってきているといえます。
ウエディングパークでも、位置情報を活用した「WPロケーションアド」という商品の取り扱いをスタートしました。これは株式会社サイバーエージェントが開発した位置情報ターゲティングツール「AIRTRACK」*1を活用した商品で、結婚式場やブライダルサロン周辺、ランドマークなど指定の位置を訪れた人をターゲットに、スマートフォン広告を配信することができます。広告配信後、来店計測により広告効果を可視化することができるため、ネットからリアルにどう人が動いているのかも、分析し、今後のマーケティング活動にいかすことができるのが大きな特徴です。
雑誌や、ポータルなど限られたチャネルだけに出稿していれば大丈夫という考え方もありますが、よりマーケティングの可能性を広げるためにも、来館を増やしていけるような新しい取り組みや、成功事例を皆様と一緒につくっていきたいと思っています。
*1:「AIR TRACK」の計測データは個人情報と同等に扱い、事前にユーザーの許可を求め、広告配信を許可する意思を示したユーザー(オプトインユーザー)のみに広告・通知を配信いたします。また、配信・分析も同様に、オプトインユーザーのみでの機能となり、一定数以上のユーザーをまとめる処理を行うため、個人を特定できる形式ではありません。本サービスはユーザーの意志により自由にオプトアウトすることが可能です。
《プロフィール》
(株)ウエディングパーク アドテク本部 本部長
大竹淳介(おおたけ・じゅんすけ)
学生時代から若くして活躍できる環境がある会社を志望し、2007年に株式会社サイバーエージェントに入社。インターネット広告の営業として活動した後、2013年に株式会社ウエディングパークへ。広告開発などに従事した後、インターネット上での広告配信の最適化や、メディア収益化に関して、アドテクノロジーの重要性が高まっていることから、2014年7月に「wedding(結婚)」と「tech(技術)」をあわせた「WedTech推進室」を立ち上げ、専属チームでアドテク領域の広告商品開発を担当し、今年10月に「アドテク本部」本部長に就任。