Wedding-UP CASE
2022.06.23
結婚式は農業。お客様との関係性を大切にするフェリスが行き着いた、自社集客の極意【Wedding-UP CASE #010】
結婚するおふたりの式場検討時の情報収集源が多様化してきている今、ブライダル業界で注目されているキーワードの一つが「自社集客」です。予約機能のある中間サービスを通さずに、式場各社の公式サイトなどから直接予約してもらう集客方法を指します。
式場が伝えたいメッセージは公式サイトにこそ込められていて、その思いに共感した顧客とのベストマッチを叶えられるのが「自社集客」。
新型コロナがウエディング業界に大きく影響をもたらし、広告費を削減する傾向が強まっている今、顧客と式場双方にとって幸せなマッチング手法として「自社集客」はますます重要になっていくのではないでしょうか。
そこで結婚あした研究所では、自社集客に注力し成功している企業の事例(CASE)を紹介する新企画「Wedding-UP CASE 〜自社集客力を鍛える〜」を立ち上げました。各社がどのように自社集客に取り組み、その先に何を目指しているのかを聞いていきます。
今回取り上げるのは、長野県塩尻市の結婚式場「フェリスクレール」を運営する株式会社フェリス(以下、フェリス)。2019年8月に公式サイトをリニューアルし、自社集客の強化を開始。媒体メインだった集客手法から自社集客を注力したことで、確度の高いお客様からの問い合わせが増加、成約率もアップしたといいます。
リニューアルを担当したのは、株式会社フェリスの取締役を務める藤巻康平さん。自社集客強化のきっかけ、コロナを機に始めたオンライン接客について語っていただきました。
■プロフィール
株式会社フェリス
1972年、甲府婚礼センター諏訪営業所として諏訪市にて創業。現在は長野県を中心にウエディング関連事業を幅広く展開し、2005年には塩尻市にナチュラルホームウェディング「フェリスクレール」を開業。「結婚式は農業」をモットーに、一人ひとりのお客様と丁寧に向き合うことを大切にしている(公式サイト)
公式サイトをリニューアルし、フェリスらしさを表現。来館数が約2倍に増加
――御社が自社集客の強化に踏み切ったきっかけを教えてください。
私が2018年に入社した当時は、結婚情報サイトもしくは、結婚式を挙げてくれた方によるご紹介でお問い合わせやお申し込みをいただくことがほとんどでした。
しかし、コロナ禍になり、集客が振るわずこのままでは式場運営自体が立ちゆかなくなるという懸念が浮上しました。結婚情報サイトに掲載することで間口を広げつつも、自社に共感してくださる方にもっとご来館いただくためにはどうすれば良いかを考えました。そこで、自社らしさを表現するに最適な公式サイトのリニューアルに踏み切ったのです。
――公式サイトをリニューアルする際に心がけたことはありますか?
時代に合った新しい内容やデザインへのリニューアルというのは大前提としてありつつ、会社として大切にしていた「家族との関わりや絆を大事にする」というポリシーを公式サイトのコンセプトに据えました。これは私自身の要望というよりは、社長の意向が強かったですね。社長にヒアリングを行いながら、公式サイトに掲載するメッセージなどを決め、フェリスらしさを表現することを心がけました。
また、新規のお客様向けの情報だけでなく、お食い初めやご家族のアニバーサリーお食事会のご案内など、フェリスクレールで結婚式を挙げてくださった方向けのコンテンツもたくさん掲載するようにしました。
また、以前の公式サイトで好評だったブログも継続して掲載することにしました。
――公式サイトのリニューアル前後で、来館数や売上などはどのように変化しましたか?
公式サイトのリニューアル前後で、月の平均来館数が約2倍まで増えました。増えた要因として、公式サイト上の情報量を増やしたことと、以前よりも更新頻度を高め、即時性のある情報を増やせた影響が大きいのではないかと推測します。
――公式サイトのリニューアル以外に、自社集客のために新たに取り組まれたことはありますか?
Instagramをはじめとする公式SNSでの発信にも力を入れました。現在、SNSの更新はプランナーが行っており、発信する内容は執行メンバーが決めています。長野エリアに立地する式場の中で当社のInstagramはフォロワー数も多く、月に2件ほどは「Instagramを見ました」と言って来館していただくケースも出ています。投稿をすればするほど効果が出ていることを実感していますね。
パソコンに不慣れなスタッフが多くても「オンライン接客の方が成約しやすい」と言える理由
――自社集客とあわせてオンライン接客も強化されたと伺ったのですが、経緯をお聞かせください。
コロナ禍で来館者数が減少したことをきっかけに、オンライン接客を強化しました。実はコロナ禍以前から遠方にお住まいの方などへはオンライン接客をおこなっていましたが、お問い合わせの数としては月1件あるかないか、という状況でした。現在は資料請求いただいた方などに積極的にオンライン接客ができることをお伝えしており、月3件程度まで増えてきています。
――オンライン接客を実施するにあたり、会社として課題に感じたことはありましたか?
Zoomを使ってオンライン接客していても資料の画面共有がうまくできないといった、パソコンやデジタルツールに慣れていないスタッフが多いことが課題でした。なので、現場のスタッフはオンライン接客に少し抵抗感を持っていました。
ですが、ちょうどオンライン接客が増え始めたタイミングで、「フェアつく online※」というオンライン接客支援ツールを導入することができました。デジタルスキルがないスタッフでも感覚的に使え、事前準備も少なくて良いということもあり、スムーズにオンライン接客ができるようになりましたね。急遽入ったオンライン接客にもすぐに対応できるというメリットもあり、お客様のニーズに応えやすくなったとも感じています。
――オンライン接客を始めて感じられたメリットはありますか?
私の主観ですが、オンライン接客の方が対面での接客よりも成約に繋がりやすいと感じています。オンラインの場合、打ち合わせの終了時間が明確に決まっているので、見積もりについてもある程度想定されるパターンを3〜4つ作っておくなど、接客への事前準備にも変化が生じたことが功を奏しているのかと。対面だと2時間かかっていた接客も、オンラインだと1時間に短縮できるようになりましたね。一方で、この事前準備は通常の対面接客でも行うべきだという反省にもなりました。
また、オンライン接客ですと、場所の制約なくお客様も参加いただけ、拘束時間も短いため、お客様のストレスも減らせたように感じています。
もう一つメリットだと思ったのが、お子さまがいらっしゃる方や、仕事柄外出を控えていらっしゃる方、遠方にお住まいの方などに喜ばれていることです。長野県ご出身で県外にお住まいの方や、会場の雰囲気だけ見たいというフォトウエディングを希望される方には、移動のコストが削減できるオンライン接客が好評ですね。実際、結婚式当日までにお越しいただくのが難しい方で、オンライン接客を選択していただきご案内を進めているケースもあります。
フェリスクレールが活用している「フェアつく online※」のページ(一部)/2022年5月時点
結婚式は農業。紹介率の高さにもつながる企業風土
――フェリスクレールで挙式を挙げたり、結婚式に参列されたりしたお客様のほとんどが、他のお客様をご紹介されると聞きました。集客全体の35%を占めるという紹介率の高さは何が要因だと考えていますか?
おそらく先代から受け継がれている企業風土がもたらす影響が大きいかもしれません。社長が提唱しているのが「結婚式は農業。畑のように何年も耕していくことで、良い結婚式が実っていく」ということ。結婚されるおふたりはもちろん、参列するゲストにまで寄り添った「いい結婚式」を何年も継続的にお手伝いすることが、信頼に繋がり、そしてそれがまた次のお客様を幸せにしていく。実際、ご家族全員にフェリスクレールで挙式をしていただくケースも少なくないなど、何世代かに渡ってご愛顧いただいています。
長年地元に密着した式場なので、地域の人とのつながりが強いのも大きいですね。例えば、とあるカップルの出会いが地元のサークルだったのですが、サークルを立ち上げた方を当社のプランナーが偶然知っていたんです。サークルの創始者も挙式に参列されるということで、何か挙式でメッセージやサプライズをお願いできないかと話し合ったりしました。実はこういったケースは珍しくなくて、おふたりだけでなく、おふたりのご友人やご家族、関わっている方々をどのように大事にされているのかをプランナーが深掘りしているからこういったエピソードが生まれるんですよね。おふたりをお客様として見るのではなく、私たちも家族や兄弟のように親密に関わるようにしているからこそだと思います。
「利益を考えることよりも、人を大事にすること。」
この風土は社長や先代から続いている社風で「おふたりが結婚することで喜ぶ方々がいて、そのお手伝いをすることが我々の仕事」とスタッフ全員が考えています。「また遊びに来たいので、友だちが結婚式を挙げるときはフェリスクレールをお勧めしますね」と言ってくださるお客様が多く、嬉しく思っています。
今後も、未来を見据えながらお客様に喜んでいただけるような新サービスや事業を展開していきたいと考えています。そのためにも、これまで培ったノウハウを活かして、様々な挑戦を重ねていきたいと思います。
※フェアつく online…結婚準備クチコミ情報サイト「Wedding Park」への広告掲載サービスに契約いただいている結婚式場へ向けて追加費用なし提供しているオンライン接客支援ツール(プレスリリースはこちら)
お問い合わせはこちら:https://www.weddingpark.co.jp/contact