社員一人ひとりの思いで未来のお客様を幸せにする。ディアーズ・ブレインの人材育成【#ミライケッコンシキ2021 Vol.2】

社員一人ひとりの思いで未来のお客様を幸せにする。ディアーズ・ブレインの人材育成【#ミライケッコンシキ2021 Vol.2】

新型コロナウイルス流行をきっかけに、世の中は大きく変わりつつあります。個人の価値観が変化し、それに伴ってさまざまなサービスがアップデートされるなか、これからウエディング業界にも変化が生まれていくことは想像に難くありません。

2020年からスタートしたシリーズ「#ミライケッコンシキ」では、「ミライの結婚式のために、イマ私たちができること」をテーマに、ウエディング業界に携わる方々に取材を重ねてきました。

継続的な取材を通して、2020年と2021年では、ウエディング業界の雰囲気が少し変わってきたと感じます。明日を暗中模索する段階を経て、未来へと力強く歩み始めたような印象を受けるようになりました。

そんな今だからこそ、「#ミライケッコンシキ2021」をスタートします。

結婚式はこれからどうなっていくのか、まだまだ先行きが読みにくい今だからこそ、ミライの結婚式について、一緒に考えてみませんか?

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今回取り上げるのは、ハウスウエディング事業を主軸とし、ドレス事業、レストラン事業、コンサルティング事業を展開している株式会社ディアーズ・ブレイン(以下、DB)です。同社は、日本における「働きがいのある会社」ランキング(Great Place to Work® Institute Japan)の中規模部門(100-999人)にて、2017年から5年連続でベストカンパニーに選出されています。

新型コロナウイルスの影響から結婚式を挙げたくても挙げられないカップルが増え、経済的・精神的にもダメージが大きかったであろうウエディング業界。厳しい状況が続くなか、DBでは未来のお客様を想像しながら、社員一人ひとりの視座と原動力を高める取り組みが行われていました。

同社のウエディング事業本部 兼 人材開発部に所属する小倉翔童さん、ウエディング事業本部 東日本ウエディング事業部統括マネージャーを務める豊島仁彦さんに、結婚式の未来のために「社員のモチベーション向上」に力を入れる理由を伺いました。

未来の結婚式をつくる“人材の育成”により注力し始めた2020年

ーー新型コロナウイルスに揺れた2020年。ウエディング業界にも多大なる影響があったかと思いますが、DBにとってはどのような1年だったでしょうか?

豊島:これまでの当たり前が通用せず、コロナ禍の時代にマッチする商品やオペレーションを考えることに相当な労力を費やしました。あまり頭を使ってこなかった領域でもあり、苦戦する部分も多々ありましたね。当初は、ブライダル業界はどうなる?会社は?と漠然とした不安と先の見えないことへの不安が募り、どうにか結婚式の数を増やさなければ……と躍起になっていたように思います。

小倉:結婚式のプロデュ―スができなくなり、会社として特別休暇が設けられたときは、ずっと本気で自転車を漕いできたのに、急に道がなくなったようでしたね。これまで結婚式に費やしてきた力をどこに使えばいいのだろうかと。もちろん自己研鑽には使えども、原動力の軸はお客様にある社員も多く、自分の持てる力をお客様に向けられなくなったときの戸惑いは大きかっただろうと思います。お客様も止むを得ずに挙式をキャンセルしたり、何度も日程変更をしたりするなか、お客様に寄り添うあまりに感情移入して辛くなる場面もあったはずで。そういった面での苦しさはあったと思います。
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株式会社ディアーズ・ブレイン ウエディング事業本部 営業推進部 営業研修グループ グループマネージャー 兼 人材開発部 マネージャー 小倉翔童さん


豊島
:ただ、今となってはあまり悲観的に捉えていません。そう思えるのも、2020年3月に代表の小岸からオンラインで全社員に向けてのメッセージが届いたのが大きくて。コロナ禍で厳しい状況を「変化に対してどれだけ柔軟に対応できるかが分かれ目」と話していたんです。同時に「結婚式の形を変えないために、変えなくてはいけないことがある」とも。その言葉を受けて、コロナ前の結婚式のスタイルが戻ってきたときに臨機応変に対応できるよう、今できることに目が向き始めましたね。オンライン挙式のように新しいスタイルを取り入れながら、プランナーやキャストの育成に注力しようと気持ちを切り替えられました。

ーー「今できること」のひとつが、未来の結婚式をつくる人材の育成だったんですね。

小倉:取り組みの代表例としては、2021年から大きく変えた「継続研修」があります。管理職を目指す社員向けに実施している次世代キャスト研修です。以前はオフライン開催だったところをオンラインに切り替えました。結果、開催側の準備負担も減り、研修のスケジュールも柔軟に組みやすくなったほか、参加者は移動の必要がなくなった。そのおかげで3ヶ月に1回だった開催頻度は4回まであげられ、定点観測が非常にしやすくなりましたね。準備負担が減ったことで開催側の視野が広がり、次回の研修を充実させるための工夫ができ参加者の上司にあたる支配人たちとも密にコミュニケーションを取れるようになりました。

豊島:私は継続研修に参加している立場なのですが、参加者側のメリットも大きいように感じます。というのも、キャストの成長具合は1ヶ月単位でも大きく変わるんです。目標意識の立て方や、目標を追っていくためのアクションプランの作り方など、たった1ヶ月でもキャストによってこんなに差が生まれるのかと驚くこともある。オンラインに移行して定点観測がしやすくなったおかげで、その事実をより実感し、刺激を受けるようになりました。

オンライン活用で、社員一人ひとりの思いと挑戦を全社で共有

ーー未来のお客様を想像して今できることに目を向ける。そうしたマインドがコロナ禍で醸成されたきっかけは、ほかにもあったのでしょうか?

小倉:「DB AWARD」という全キャスト参加型のプレゼン大会でしょうか。これがあったから、全社員が「結婚式の価値」を見つめ直し、「自分たちはその価値を提供するために頑張っているんだ」という共通認識を握れたのだと感じています。

豊島:プレゼンの内容は、お客様の幸せを生み出す点で自分がどういう気づきを得たのか、コロナ禍でもお客様のニーズを汲み取ってどんな提案につなげたのか……など。キャスト約200名のストーリーや思い、アプローチは人それぞれ異なるので、全社的に多様な価値観に触れる良い機会になりましたね。

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株式会社ディアーズ・ブレイン ウエディング事業本部 東日本ウエディング事業部 統括マネージャー 豊島仁彦さん

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DB AWARD 表彰式の様子(2020年1月開催の全社キックオフ)


小倉:これまでプレゼン会場に集まれなかった人たちは、現場の熱量や空気感を味わうことが難しくて……。それが、2020年9月のエリア予選からオンライン・オフラインのハイブリット型で開催したことにより、遠方の店舗で働く社員だけでなく、産休・育休中の社員もネットが繋がる環境であれば場所を問わず参加できるようになりました。同時に専門学校や大学とも協力し、プランナーを目指す学生さんたちも視聴できるようになったんです。

未来のお客様を想像し、コロナ前の、これまで通りの結婚式を全力でお手伝いする日のために。自分たちが心から好きな「結婚式」を挙げるのが難しい時期が続くなか、「これまで以上に提案力やヒアリング力を磨いていく」という熱量を披露し、共有するコンテストだったので、より特別なものに感じましたね。

ーー常に時代を捉え、新しい扉を開き続ける「OPEN DOORS!!」という、DBの理念を再確認し、原点に立ち戻るような機会だったと。

小倉:そうですね。時代の一歩先を捉え、社員の挑戦を後押しする観点では、2020年より始動した「経営者育成プロジェクト」も大きな取り組みの一つでした。コロナ禍でも新しい事業を創出しようと、社員自らが企画した事業を取締役会に通し、起業を一つの目標として1年間のスパンで実施しました。入社2年目のキャストも応募してくれたほか、営業メンバーのみならずシェフたちも参加してくれて。全社的に「入社年次や職種に関わらず、こんなチャレンジもできるのか」と感じてもらえたのかなと思います。

DBが考える、未来のブライダル業界に求められる人材とは?

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ーーお二人から見て、今後、ブライダル業界にはどのような人材が必要になってくると思いますか?

小倉:私たちが今お話したことを前のめりに楽しめるかどうか。そのうえで自己成長と店舗への利益、お客様への満足を届けられることが前提だと思います。ウエディング業界は特にコロナ禍でダメージを受けていますが、そんな状況下でもベンチャーマインドを持って積極的に挑戦をしたり、結婚式の本質的な価値と向き合い、人としての成長意欲を持てるかが大切だと思いますね。

規格外のことにも挑戦する精神があったほうが、DBとしては面白いだろうなと。当たり前の結婚式をやり続ければ業界は衰退していくと思います。それを打破する信念を持つ人たちに仲間になってほしいですね。

豊島:つい先日、代表の小岸から「近未来予想図を描くのは、あなたたち社員のみなさんです」というメッセージが届きました。会社の未来、結婚式の未来を描くのは社員一人ひとりであり、周りから憧れられる存在になってほしいと。ウエディング業界としてではなく、広義のホスピタリティ業界として仕事を楽しんだり、憧れられるほど挑戦を楽しめる人材が求められているのだと思います。
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豊島
:そうした人材に来てもらうためには、私たちがウエディングの価値をもっと世の中に届けていく必要がある。2020年からはお付き合いのある専門学校や大学の学生さんに、自社の取り組みに触れてもらう機会をつくり始めました。その過程で結婚式に興味がなかった人たちも「結婚式って、意外と面白いかも」と、DBを気にかけてくれたら嬉しいですね。現状は結婚式が主軸の事業になっていますが、この先、多様な仕事が生まれることと思いますし、人として成長できる企業としての土壌を固めていきたいです。

カップルの期待を裏切らないよう、最高速でリスタートを切る

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ーー結婚式のニーズやトレンドが急速に多様化する昨今。DBとして、これからどのような結婚式を社員と一緒になってつくっていきたいですか?


豊島:これまでもDBではトレンドを先取りし、枠に捉われない結婚式をつくる意識のもと取り組んできました。その過程で新しい結婚式のかたちも生まれつつありますが、遠くない将来、コロナ前の結婚式のスタイルが戻ってくるのではと予想しています。そのときに最高速でリスタートを切れる準備をする必要があるなと。結婚式の価値は、これからの結婚式に対する向き合い方によっては大きく変わると思っています。結婚式はやはり人が集まらないと楽しくないと思うのか、集まらなくても最高の結婚式はできると思うのか……私たちの結婚式の作りかた次第で変わってくる。コロナから戻るタイミングで、カップルのみなさんの期待を裏切らない結婚式をつくるのが重要だと思います。

ーー最後に、これから結婚式を挙げるカップルの方々にメッセージをお願いします。

小倉:コロナ禍でも挙式をされたお客様からは、「結婚式を挙げてよかった」という言葉をたくさんいただきました。さまざまな迷いや苦悩があったであろうなか、そうした前向きなメッセージに私たちも励まされますし、これから結婚式を挙げるカップルの方々とも「やっぱり、結婚式っていいですよね」と気持ちを共有したいですね。まだまだコロナの影響があるなか、結婚するお二人だけでなく、ゲストの方々も不安な思いがあると察しますが、一緒に乗り越えていきましょうと伝えたいです。

豊島:結婚式は「出会える場」だと思っています。久しぶりの友人、会社の同僚、親族の方々……結婚式を挙げなければ会いたくても会えない人たちがたくさんいるはずです。結婚するお二人はもちろん、参列する人たちにとっても特別な場であることに変わりないのでお二人だけで「結婚式を挙げなくては……」と焦ったり、気負いすぎないでくださいねと。自分たちだけで考え込まず、これまでの人生で繋がってきた人たち、あるいはプランナーである私たちに気軽に頼っていただけたらと思います。

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(文:なかがわあすか / 写真:伊藤メイ子 / 取材・企画編集:ウエディングパーク) 

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