“らしさ”を実現できる結婚式場と巡り逢えるメディアを目指して。9度目の大規模バージョンアップで実現したい未来とは

“らしさ”を実現できる結婚式場と巡り逢えるメディアを目指して。9度目の大規模バージョンアップで実現したい未来とは

デザイン経営とは、「デザインの力を、ブランドの構築やイノベーションの創出に活用する経営手法」のこと(特許庁)
ウエディングパークでは、デザイン経営が目指す「三方良し(売り手・買い手・世間に良し)」から一歩踏み込み、「四方良し(当社・社会・結婚式場・カップルに良し)」の実現を目指しています。

その理念を体現する新たな取り組みとして、結婚準備クチコミ情報サイト「Wedding Park」では9度目となる大規模バージョンアップ「ウエクリ11.0(イレブン)」を企画し、現在は機能リリースにむけ開発の真っただ中。今回はカップルと結婚式場それぞれが“自分らしさ”を実現していく「らしさの巡り逢い」をテーマに、「AIアシスタントの導入」「クチコミバージョンアップ」「レポートバージョンアップ」という3つの新機能追加を発表しました。

そこで本記事では、バージョンアップに携わった+Creation本部の越(こし)貴裕さんと、メディアソリューション本部の金(きむ)小熙さんに、試行錯誤を繰り返したバージョンアップの過程と、新機能に込めた想い、そしてバージョンアップを通じて叶えたい未来について伺いました。

同質化する業界で際立つために。独自の体験価値の追求と試行錯誤

ーー今回の「ウエクリ11.0」は9度目となるバージョンアップとのことですが、企画はいつごろから動き出したのでしょうか。

越:話し合いを始めたのは2024年の10月頃ですね。Wedding Parkは20年もの間、長くクチコミサイトを運営してきた経験から、時代に沿ったサイトのアップデートを大事にしてきました。これまでもおおむね2年に1回のペースで機能の見直しをしており、今回もそのタイミングではありましたが、複数あるウエディング関連の情報メディアが、ユーザーから見たらどれも同じに映ってしまっているのではないか、と課題に感じていました。そこで、僕たちがメディアの作り手としてずっと大切にしてきた独自の体験価値を、もっと強化したいと考えていました。

結婚準備クチコミ情報サイト「Wedding Park

ーーまずはどんなことから着手したのでしょうか。

越:金の所属するメディアソリューション本部のメンバーとデザイナーに入ってもらい、お互いの共通認識をつくることから始めました。メディアとしては体験価値をもっと上げたい一方で、全国の婚姻数は減少傾向にあり、結婚式場の収益構造や集客の在り方は変化させていかなければいけない。それぞれが抱える課題を持ち寄ってフラットに考えていこうという方針でチームを編成しました。

共通認識のすり合わせは1カ月ほどで完了したので、そこからは企画と戦術案をセットで決めていくプロセスに入りました。ただ、ここが結構苦労しましたね……。

左:メディアソリューション本部 金 小熙、右:+Creation本部 越 貴裕

ーーどんな苦労があったのでしょう?

越:メディアとしてユーザーに選ばれるバージョンアップを実現しなければならない。それと同時に、社会課題と業界の課題、両方を捉えつつ、メディアという商品として売上も上げなければいけない。相当高い基準を設定したがゆえに、上流のテーマ設定から下流の具体的な仕様まで、何度も行ったり来たりしました。

戦術は良くても商品としてはあまり良くなく、一貫性を保てなかったり。一度決めたものを全部見直して、どこかに綻びが出ればまた最初から再構築する、ということを繰り返しました。「これが良いんじゃないか」と思ったものも、実際にユーザーに利用してもらうと全然響かない、ということも実際にありました。

金:今回のバージョンアップのテーマも何度も変更しましたよね。公式サイト誘導型というビジネスモデルだからこそ、公式サイトに誘導する仕掛けづくりを新たにつくって誘導を強化するという話も出たことがあります。ただ、クライアントである結婚式場側のメリットは比較的分かりやすいのですが、ユーザー側はどうなのかと。無理に誘導してしまうと、ユーザーが付いてこないという結果になってしまった気がして…。

何度も議論を重ねた結果、「四方良し」を追求しようという原点に立ち返りました。最終的に、カップルと式場それぞれが“自分たちらしさ”を実現していける「らしさの巡り逢い」というテーマに落ち着いたんです。

ウエクリ11.0のサービスコンセプト

3つの新機能で実現する、「らしさ」を軸とした新しいユーザー体験

ーーそんな試行錯誤を経て、今回のバージョンアップは「AIアシスタント」「クチコミバージョンアップ」「レポートバージョンアップ」と、大きく3つのポイントがあると伺いました。

越:はい。僕たちは“技術とデザインのウエディングパーク”を掲げていることもあり、新しい技術をどう業界に生かすかという発想は常に大事にしています。そのため、今回のバージョンアップでは当初から生成AIは取り入れたいと考えていて、そこで採用したのが「AIアシスタント」です。

「AIアシスタント」では、写真を起点に式場選びができる「フォト探索」、費用に関する多角的な情報から式場をマッチングする「予算マッチ」、検討中の会場情報を整理・要約して伝える「会場比較」、そしてクチコミを要約してくれる「クチコミ要約」の4つを実装しました。

エリアや条件で結婚式場を選んでいくだけでなく、自分たちにあった会場を探索するような体験を提供することで、体験価値を向上させていきたいと考えています。例えば「東京 ガーデンウエディング」の条件で探していても、開放的な空間に魅力を感じるのか、四季を感じる挙式にしたいのか、アットホームな雰囲気でやりたいのか…、ユーザーによってニーズは様々です。また東京で探しているけれども、自分たちにマッチした結婚式場であれば実はエリアの条件は優先度が低かったりする場合もあります。
そういったカップルの隠れたニーズに応えられるように、類似画像から会場を探せる「フォト探索」ではエリア設定の制約をあえて緩めて、最初は検討していなかった結婚式場とも出会えるようにしています。

それだけでなく、要約機能も重要なポイントです。情報は探せば探すほど疲れてしまうのが、昨今のユーザーのインサイトです。まずはその式場がどういうところなのか直感的に知ってもらいたく、気になった会場のクチコミや魅力を要約で確認できるようにしました。

カップルの皆様には、Wedding Parkでうまれるセレンディピティを楽しんでいただきたいと考えています。


ーー次の「クチコミバージョンアップ」は、今回のバージョンアップの目玉だそうですね。

越:クチコミはもともと僕らが大切にしてきたコンテンツです。Wedding Parkはウエディング業界で初めてクチコミを取り入れたメディアなので、次の時代のクチコミを最初に作るのも僕らでありたいと思っていました。

現状のクチコミをコンテンツとして見直してみると、スタッフや料理、会場などの「評価」は確認できますが、「どういう人が評価したのか」は分からない状況でした。そこで「ヒストリー」という機能を新設して、その会場で結婚式を挙げた方がどのような軸で式場探しをして、どこに決めたのか、その履歴を見られるようにするのはどうかと考えました。

実は「自分たちの中で判断基準が見つけられない」というユーザーインサイトは意外と多いんですよね。先輩カップルがどういう基準でその式場を選んだのか、その時にどんな選択肢を比較していたのか。基準は持ちたいけれど、押し付けられるのは嫌だと考えるおふたりには、きっと支持してもらえると思います。実際、事前のユーザーインタビューでもすごく好評でした。

ーー確かに自分と価値観の合う人のクチコミを参考にしたいというのはありますよね。

越:はい。結婚や結婚式って、ひとりの価値観からカップルとしての価値観へとアップデートされていくものだと思うんです。その最初のステップである式場選びで、お互いの価値観を話し合いながら作り上げていく過程も一緒に体験してもらえたら良いなと。

ーー3つめの「レポートバージョンアップ」はクライアントである結婚式場に向けたバージョンアップになると思いますが、どういった点に期待していますか?

越:ユーザーが何を見て会場決定したかという行動の流れは、クライアントのマーケティングにとっても意味のある情報だと考えています。そこをより分析しやすくするレポート機能を提供したいと思いました。

例えば、ユーザーがホームページに進まずサイト内で途中離脱していても、その時に開催していたフェアや企画が原因とは限りません。その前段階でカップルにマッチしたプランがなかったかもしれないし、カップルのモチベーションが上がるような魅力が不足していた可能性もあります。今回のバージョンアップでは、ユーザーの行動を点ではなく線で捉え、分析しやすいレポートを提供できるようになります。これを活用していただければ、今まで以上に本質的な自社の魅力や競合との差別化ポイントに向き合っていただけるのではないかと思っています。

ーーこういった新機能を搭載することで、ウエディングパークが業界のトップランナーであり続けるという、社会的なインパクトも高めていけるように思います。

越:そうですね。実は、今回のバージョンアップでは、業界内外からどれだけ注目してもらえるか、みたいなことも目標のひとつに掲げています。

僕らにしかできない体験価値を提供することでユーザーに選ばれるメディアとしての立ち位置を確立し、メディアパワーが向上することで媒体としての信頼性を高めることができる。結果として、商品としての売上向上にもつながると考えています。

チームの連携を強みに。ワクワクが生む新たな価値とメディアとしての未来

ーー会社としても2021年から「デザイン経営」を掲げていますが、今回のバージョンアップにもその考え方は生かされていますか?

越:デザイン経営は間違いなく必要な考え方だと思っています。何もしないと業界全体の市場規模が縮小していく中で、新たなビジョンを描くときには欠かせない視点です。

技術面では、先ほどお話ししたようにAIを搭載したサービスを提供できることで、業界をよりリードしていけると考えています。というのも、ウエディングパークのエンジニアはイキイキ働いているのが強みだなと。エンジニアという職種を選ぶからには、自分たちが作ったものでウエディング業界の未来を動かしたいと考えている人が多く、技術的な挑戦への意欲も高まっているのを感じます。それが結果的にプロダクトに反映されて、業界への憧れやイメージの向上につながることを期待しています。

ーー最後に、今回のバージョンアップで叶えたい未来を教えてください。

越:ブライダル業界は、会場という不動産の維持管理費や、成約を得るための販促費など、とにかくお金のかかるビジネスモデルです。でも本来であれば、そのお金は提供するサービスや体験のクオリティを高める投資に向かってほしいというのが理想です。過度な特典を使った表面的な集客施策や、事前のマッチング精度の低い来館集客などよりも 、自分たちの本来の強みを磨き上げることに注力できる。Wedding Parkはそんな環境づくりができる媒体でありたいですし、式場の収益構造や投資の向き先が変わっていくきっかけになれたら良いなと思います。
それが結果として業界全体のサービス向上につながりますし、カップルにとってもさまざまな魅力的な式場や結婚式の選択肢があることに気づいてもらえるはずです。ユーザーと式場の間に立つ僕らだからこそ、それをしっかり伝えられるメディアでありたいです。

金:現場でクライアントに今回のバージョンアップについてご案内していても、新機能への反応は非常に良好です。それが営業活動にも、作り手の自信にもつながっていると実感しています。
プロダクト自体はまだまだ開発の余地があり、継続的に改善していけるはずです。私たちがセールスとしてできることは、お客様のご要望をきちんと吸い上げること。そしてお客様の声をメディア側に伝えて、それを反映していく。この連携とクオリティをウエディングパークの強みにしたいと思います。

※取材対象者の所属、役職および掲載記事の内容は取材当時のものです

取材・文:大井 あゆみ
写真:伊藤メイ子
企画編集:ウエディングパーク

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