多様化するカップルの希望に応えられる結婚式場でありたい。新たな選択肢を生み出す株式会社CRAZY【#ミライケッコンシキ2021 Vol.5】

多様化するカップルの希望に応えられる結婚式場でありたい。新たな選択肢を生み出す株式会社CRAZY【#ミライケッコンシキ2021 Vol.5】

新型コロナウイルス流行をきっかけに、世の中は大きく変わりつつあります。ウエディング業界にも、今後ますます変化が生まれていくことは想像に難くありません。

2020年からスタートしたシリーズ「#ミライケッコンシキ」では、「ミライの結婚式のために、イマ私たちができること」をテーマに、ウエディング業界に携わる方々に取材を重ねてきました。継続的な取材を通して、2020年と2021年では業界の雰囲気が少し変わってきたと感じます。明日を暗中模索する段階を経て、未来へと力強く歩み始めたような印象を受けるようになりました。

そんな今だからこそ、「#ミライケッコンシキ2021」をスタートします。結婚式はこれからどうなっていくのか。まだまだ先行きが読みにくい今だからこそ、ミライの結婚式について、一緒に考えてみませんか?

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ウエディング業界で、コロナ禍のずっと前から新たな選択肢を生み出してきた存在といえば、株式会社CRAZYが挙げられるでしょう。オーダーメイドウエディングを掲げ、おふたりだけにしか作り出せないオリジナリティあふれる結婚式を数々生み出し、さまざまなメディアに取り上げられました。

しかしCRAZYは、2021年7月、オーダーメイドのウエディングサービスの提供数を縮小すると発表します。創業事業であり、自社の代名詞でもあったオーダーメイドウエディング事業を縮小した決断には、どのような背景があったのでしょうか。

今回のインタビューでは、CRAZYでマーケティング責任者を務める松田佳大さんにお話をうかがいました。世の中が急速に変化する今、CRAZYが考える「結婚」について聞いてみましょう。


■ プロフィール

株式会社CRAZY 松田佳大

2016年に「心震える体験をつくるシゴトがしたい」とリクルートキャリアからCRAZYへ転職した後、CRAZY WEDDING大阪支社の立ち上げとともに、約100組の結婚式のプロデュースを担当する。結婚式プロデュースのノウハウを生かし、法人向けブランディングイベントやCRAZYの事業開発などさまざまな企画開発に携わった後、現在は株式会社CRAZYマーケティング室責任者を担っている。


自社の代名詞であるオーダーメイドウエディング事業を縮小した理由

── 新型コロナウイルスの影響が社会的に広まってから約1年半が経ちましたが、振り返ってみるとどんな期間でしたか?

仰るとおり、新型コロナウイルスの影響を多大に受けました。最初に異変を感じたのは、2020年2月末です。Twitterのタイムラインで普段は結婚式に関連する投稿をあまり見かけないのに「私たちの結婚式が・・・」と嘆く投稿を、急に見かけるようになったことを覚えています。その後、一気に波が来たことは忘れもしません。

すぐに多くの結婚式が延期になっていきました。そこからCRAZYでもオンラインウエディングを導入し、メディアに取り上げていただくこともあって持ち直したかと思えば、再び流行の波が来て……。2021年7月にはオーダーメイドウエディング事業の縮小を発表しましたから、落ち着くタイミングもなくここまで来ましたね。

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── オーダーメイドウエディングの事業を縮小する決断には、どのような背景があったのでしょうか。

2021年1月に3回目のコロナウイルスの大流行が来たとき、CRAZYで大きな改革をしようという話になりました。自分たちでも驚くような改革をしないと、これ以上良い方向に行けないぞと。どう改革をするか議論を重ね、最終的にオーダーメイドサービスの縮小を選びました。

実は主力サービスの変更自体は、自社の結婚式場であるIWAI OMOTESANDO(以下、IWAI)を立ち上げた2019年から準備していたことでした。このタイミングでの決断に至った理由としては、「CRAZYといえばオーダーメイド」のイメージが、サービスのボトルネックになっていたことにあります。

── 創業事業のイメージが強すぎた、ということでしょうか?

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IWAI OMOTESANDOの会場の様子

2021年1月の段階ではすでに、IWAIの月間契約数に対してオーダーメイドの契約数は5分の1から7分の1程度と、IWAIの契約数のほうが多くなっていたんです。しかし社外からのイメージは、ほとんど「CRAZYといえばオーダーメイド」という認識しかない。イメージと実態に大きなギャップが生まれていました。

── CRAZYが変化しても、外から持たれるイメージは変わっていなかったんですね。

加えて大きな理由だったのが、時代の変化です。時代は「個を表現する時代」から「つながりを育む時代」へと移行していると感じていました。言い換えれば、人とのつながりにお金を投資したい人が増えてきています。その変化がコロナ禍で加速した今、CRAZYにとってオーダーメイドのイメージは向かい風であり、最も変革しなければならないドライバーだったんです。

変革と向き合った半年間はこの1年半のなかで一番大変でしたが、あのとき着手しなければ今どうなっていたかわからないなと感じます。

消費者の多様化にようやく業界が追いついたコロナ禍

── コロナ禍における「結婚式」の変化はどのように捉えていらっしゃいますか?

前提として、結婚式ってふうふだけが納得して買うものではなく、両親やゲストのことも考えて式場を決めるので、なかなか買いにくいものだと思うんです。加えてコロナ禍でさまざまな考え方の人がいる今、気を遣う場面が増えましたよね。

この「気遣う要素の増加」は、式場選びにおける重要な検討項目になったでしょうし、カップルの選択はますます多様化・細分化していくと思います。

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── コロナ禍ではカップルの多様化に合わせて、オンライン結婚式を筆頭に、式場からもさまざまな結婚式が提案されていました。

「コロナ禍で結婚式が多様化した」と言われますが、僕はそうではないと思っています。今まで多様化していなかったのはカップルではなくウエディング業界であり、すでに多様化していた消費者に対して業界がようやく追いついたのが、コロナ禍だったのではないかと。

── カップルが結婚式に求めるものは、コロナ禍の前から多様化していた、ということでしょうか。

そう考えています。CRAZYでは、2020年12月に「結婚式妄想記念日」というサービスをリリースしました。カップルの価値観を踏まえてぴったりな結婚式タイプを診断するもので、タイプは全部で14パターン。結果は、見事なまでに全てのパターンに均等に分かれたんです。カップルのみなさんが結婚式に求めるものが、どれかに偏ることなくバラバラだったんですね。

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「結婚式妄想記念日」の診断シート。2人の価値観を踏まえて診断し、おすすめのスタイルが提案される※現在はサービスを行っておりません

そのときに思ったのは、カップルが結婚式に求めるタイプはコロナに関係なく何年も前から多様化していたけれど、そもそも結婚式の商材に選択肢がなかったから、結果的に選ぶものが画一的に見えていただけではないかと。

── 時代が変わったのではなく、業界が消費者の多様化に追いついていなかった、と。

そう思います。他にも、昨今では結婚式を挙げないカップルが過半数になっていますが、これもウエディング業界が新しい選択肢をつくれていないことが理由の一つなのだと思います。

たとえば、挙式をしなくても、ふうふでご飯を食べたり里帰りしたりしてお祝いする人は少なくないはずです。しかしどれも、まだしっかりとはサービス化はされていない。新しいお祝いの方法が生まれかけているのに、業界がアンサーを提供できていない、というのが僕の捉え方です。

業界が提供する選択肢が多様化し始めたとはいえ、世の中に届いている結婚式のイメージはまだまだ変わっていません。これまでの広告モデルによる画一的な届け方も、考え直さなければいけないタイミングが来ていると思います。

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IWAI OMOTESANDOでの結婚式の様子

── この現状に対して、CRAZYで挑戦したいことはありますか?

IWAIではゲストファーストな結婚式を、そしてオーダーメイドでは多様な選択肢づくりをやっていきたいです。IWAIは僕たちが時代のど真ん中だと思うことを表現し、縮小したオーダーメイド事業で新しい道をつくる。そしてどんな人でも自分らしいお祝いができる社会をつくっていきたいですね。

選択肢をつくることは、正直お金になりません。それでも地道に新しい選択肢を模索し、他社が取り入れやすいモデルにしていくことが、ウエディング業界におけるCRAZYの使命だと思っています。

パートナーシップの強みを再確認する「節目」のお祝い

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松田さんの結婚に関するツイート

── 松田さんは「家族」をテーマにTwitterで発信されていますが、ご自身の経験を経て、結婚式の意義をどう考えていらっしゃいますか?

結婚式に限らず、ふうふや家族のお祝いごとは、ふうふでいることの意味に気づかせてくれる役割があると考えています。だからパートナーシップを続けていく上で、結婚式の後もお祝いの場はあったほうがいいと思うんです。

僕と妻は結婚6年目になりましたが、2人のタイプがかなり違います。僕はもともと身近なものを大切にせずに仕事に突き進んできたタイプで、妻は今ここにあるものを最も大切にする考え方。もちろん、だからこそ衝突もあったりします(笑)。

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でもそれ以上に、気づかせてもらっていることがすごく多いんです。自分の身の丈じゃできないことをやりたいとき、いつも足りないものを補完してくれています。

── ひとりではできないことを後押ししたり、新たな気づきをくれたりする存在なんですね。

そうですね。今は子どもも二人いるので、日々のダメージは小さくありません。体力も気力も、すっからかんになることなんて日常茶飯事です。そんなときって、いくらお互いをリスペクトしあっててもやっぱり大切なことは見逃されてしまうんですよね。

それが現実だからこそ、大切な人の存在を「大切だ」と再認識する機会として、パートナーシップにおけるお祝いごとが大切だと考えています。IWAIでもパートナーシップを応援するプランをご用意しているので、人生の節目をお祝いする教会のように使っていただけたら嬉しいですね。

── では松田さんなら、結婚式を挙げるか迷っているカップルにどのように声をかけるでしょうか。

前提として、結婚式を挙げなくてもいい時代なので、絶対やったほうがいいとは言いません。一方で、あなたが知らない結婚式の価値もあるはずだから、一度触れてはみてほしいと伝えたいです。

その上で、「ここがいい」と思う場所が見つかったら幸せだろうし、もし良い選択肢が見つからないときにはぜひCRAZYを頼ってください。一緒に新しい選択肢をつくっていきましょう。

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