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ミレニアル世代は早婚願望が高い?BUSINESS INSIDER JAPAN浜田敬子さんの語る時代によって移ろう結婚観

『AERA』初の女性編集長を経て、現在は「BUSINESS INSIDER JAPAN」統括編集長としてご活躍されている浜田敬子さん。

これまで仕事と子育て、またはその両立について語られたことは多くあった浜田さんですが、結婚について語ることは少なかったそうです。

第一線で出版業界、ウェブ業界をひた走ってきた浜田さんの結婚生活には、どのような困難や気づきがあったのでしょうか。

また、1980年以降に生まれた世代を指す「ミレニアル世代」の結婚観について、今と昔の結婚観の変化の話と合わせてお聞きしました。

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▼プロフィール
浜田敬子(はまだ・けいこ)
1989年に朝日新聞社に入社。前橋支局、仙台支局、週刊朝日編集部を経て、1999年から『AERA』編集部。2004年からは『AERA』副編集長。その後、編集長代理を経て、『AERA』初の女性編集長に就任。2017年3月末で朝日新聞社を退社し、同年4月に「BUSINESS INSIDER JAPAN」の統括編集長に就任。テレビ番組のコメンテーターや、働き方改革についての講演も行う。
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長時間労働の職場は社内結婚率が多い?

——浜田さん世代の結婚観って、どのようなものだったんでしょうか?

私たちの世代は、結婚しない生き方はレアケースでした。「いつか結婚するだろうな」となんとなくみんなが思っていて、私も「結婚するかしないか」では悩まなかった。

私の周りに多いのは、早くに結婚して仕事を辞めて20代から専業主婦をやっているか、ずっと働いていて独身か、どちらかなんです。今はむしろ「結婚」と「仕事を辞めること」が直結するのは少数派なのではないかと思います。

私自身は朝日新聞社時代に同じ部署の人と結婚したのですが、仕事が好きで、仕事を辞めるっていう選択肢がまったくなかったんです。結婚前と同じように仕事を続けながら結婚生活を送る前提で結婚しました。

今では改善されつつありますが、新聞や雑誌をつくる職場は基本的に長時間労働です。極端な話ですが、長時間労働をする職場であることと社内結婚率は比例しているのかもしれないと感じます。あまりに職場で過ごす時間が長いと出会いも職場が多くなるし、やっぱり仕事をしているときって、人のいい面も悪い面も見ますよね。

一緒に仕事をしているうちに気が合う人だとわかって、恋愛をして、その延長で結婚しました。

結婚の決め手は…食べ物!

——浜田さんは仕事を続けるという前提があったにも関わらず、なぜ結婚という選択をしたんでしょうか。

なんだろう……。それはやっぱり、好きだったからですよ(笑)。

——結婚の決め手とか覚えていますか。

食べものの趣味が同じなのは大きかったです。ふたりとも家で料理をするのが好きで。それって日常生活の中で大きいですよね。「とにかく外食が好きでずっと外でご飯を食べたい」という人だったら合わなかったと思います。

やっぱり「何にお金をかけるか」の価値観が同じかどうかは重要だなって思いますね。美味しいものを食べたいと思う人か、食べるものにお金も時間もかけたくない人とでは、違いがあまりにも大きいです。

お金をかけるところの価値観が近いのは「楽しいことをふたりで一緒にできる」ということなので、結婚を前向きに捉えられるんです。

厳しいことを言いますが、恋愛感情は結婚した翌日から冷めるので(笑)。価値観や思考が一緒の人といるのは、共に同じ時間を過ごす上ですごく大きいことだなと思います。

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——結婚後、ご夫婦の関係性にはどのような変化がありましたか?

結婚したことではあんまりなくって、結婚2年目で子どもが生まれてからの変化が大きかったですね。子どもができるまでは自分の人生をコントロールできるような感覚がありましたけど、特に子どもができて最初の1、2年はそうはいかない。自然と家事仕事が増えて、「本当に夫婦の関係性が試されるんだな」とそのとき思いました。

子どもができると夫婦の関係は家族という関係になるし、会話も「今日、どっちが先に帰る?」とか業務的な会話も当然多くなります。子どもが生まれる前と後ではふたりの関係性がすごく変わりました。恋人同士からプロジェクトチームみたいになった感じですかね。

早婚願望が高いのは、結婚できないことが不安だから。ミレニアル世代の結婚観

——今の20代や30代前半くらいのミレニアル世代の結婚観は、どのように変化してきていると感じますか。

結婚するタイミングだけの話で言うと「早く結婚したい」と思っている人が20代女子に多いなって感じています。

ミレニアル世代より少し上の世代は「もっといい人がいるんじゃないか」と、すぐに結婚を選択せずに相手を探し続けるとか、仕事をしていて経済力のある子は独身のままでいるケースも珍しくなかった。

私も独身時代は楽しいことが多かった。仕事をして自分でお金を稼いでいれば、周りにたくさん楽しいことがあったから、「結婚はなるべく後回しにしよう」って考えていたんです(笑)。

だから、20代女子の早婚願望が高まっていることは衝撃だったんですよ。

*「学生時代の彼は手放さない——20代女子の早婚願望。おひとりさま時代に感じる結婚先延ばしリスク」
https://www.businessinsider.jp/post-160395

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——なぜ早婚願望が高まっているんでしょう?

今の若い世代は日本の経済的な成長が見込めないから、不安が大きいんだと思います。なので、せめて家族という安全装置がほしい。どうせ結婚するなら、「結婚相手が見つかるのか」という不安を抱えて生きていくことから早く解放されたいんじゃないかな。

いずれ結婚するなら早いうちに、堅実に身を固めてしまいたい。人生の不確定要素を早くに潰してしまいたい。「だって、結婚相手が見つかると、結婚のことをずっと考えることから解放されるじゃないですか」と言った20代女子がいて、名言だと思いました。だから一番身近にいる学生時代の彼氏を手放さないという人が少なくないのだと思います。

——男性も同じでしょうか。

男性も結婚観の変化が見られていて、家族がいることに価値を置いて、家事もきちんとする人が増えています。

例えば、うちで働いてくれているインターンの大学生の男の子は、毎日お弁当をつくって持ってきているんですね。彼と同棲している彼女はもう社会人として働いているため、家事の役割分担をしていて、彼は「ワンオペ家事なんですよ」とぼやいています(笑)。

一番大切な人たちと楽しい時間を過ごしたいし、そこにお金を使いたい

——ミレニアル世代は、腕時計や外車のような高級品に興味がないというイメージです。

高級なものを持つことが幸せだとは思っていないですよね。今は電車の中を見ても、ブランドもののバッグをもっている人はものすごく減りました。価値基準が変わっていて、モノではなくて、「コト消費」へ変化していると言われていますね。

じゃあ、その「“コト”を誰とやるの?」って考えたときに、恋人や家族、仲のいい友人たちと一緒にやりたい、お金を使いたいという気持ちがあるのだと思います。

たとえばキャンプや旅行に行くのも、一番大切にしている人たちと行っていい時間を過ごしたいし、そこにお金を使いたい。

私たちの世代は、「仕事で疲れきったから思い切って高級なバッグを買おう!」っていうお金の使い方もしていましたけど(笑)、ミレニアル世代は本当に欲しいものなのかちゃんと見極めて買うようになっているんだなって感じています。


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夫婦で穏やかな時間を過ごすためには、期待値を上げすぎない

——最後に、これから結婚を考えている人たちに向けてアドバイスをいただけますか。

カップルが夫婦になると、自然と相手への期待値が上がっちゃうので、期待値を上げすぎないことは大切だなって思います。「もっとやってくれると思ったのに」とか「結婚したんだからこうしてくれるだろう」と思ってしまうのはよくない。

これって、仕事でも同じですよね。部下に対して、「これくらいできるでしょ?」って勝手に期待してもやってくれないと腹が立ってしまいます。そうじゃなくて、期待していることは伝えつつ、「あなたはここまでできるよね」と言えば、「できます・できません」と返されて、納得できる。

職場で部下に対してやるのは簡単なんだけど、相手が夫となるとどうしても「わかって当然でしょ」という気持ちが芽生えてしまって、言わなくなるわけですよ(笑)。

——ははは(笑)。そうすると、夫婦ゲンカになりますか?

もちろん。ケンカをして、一週間、ずっと口を利かないとかありますよ。夫からは「なんで部下とはちゃんとコミュニケーションできるのに、家ではできないんだ」って言われることもあります(笑)。

夫婦って、それくらいすごく距離が近い存在。何も言わずとも期待しちゃって、勝手に裏切られたと思って、ひとりでカリカリ怒ってしまう。

察することを当たり前としないで、ていねいにコミュニケーションを取りながら、お互いの期待値をきちんと確認し合うことが大切なのではないでしょうか。(取材・文:くいしん/撮影:竹中)


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