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リサーチ業務を約91%削減!アナログな会社こそ強く感じられるDXの恩恵【Wedding-UP DX ~デジタルの可能性を探る~ #006】

昨今、日常的にも耳にする機会が増えている「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉。経済産業省によると「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義されています。

新型コロナがきっかけで社会全体のDXが急速に進む中、ウエディング業界も変革を迫られています。結婚式を取り巻く環境やニーズの変化に応えるためには、DXが必要不可欠だと言われるようになったのです。

しかし、結婚式という「リアルであること」を前提とするサービスを提供してきたウエディング業界はデジタル化が進みにくく、現状、DXが推進されているとは言い難い状況です。

そこで結婚あした研究所では、業界のDXを推進すべく、早くからDXに注力している企業を取材し、なぜDXが必要なのか、注力するに至った背景を発信する「Wedding-UP DX ~デジタルの可能性を探る~」という新企画をスタートします。

第6回目となる今回は、京都、大阪、兵庫を中心に飲食事業・ウエディング事業を展開する株式会社タガヤを取材。ウエディング事業で働く人のために開発された業務効率化支援ツール「AI Patroller」を導入したことで、デジタル化の効果を実感しているという同社。神戸支店に勤めるウエディングプロデューサー、新規・集客担当の中村亮大さんと、ブライダルMGRの竹村航平さんにお話をうかがいました。


■プロフィール
株式会社タガヤ
1974年、髙谷光正によって創業。ウエディング事業を中心に衣装・旅行・写真映像・海外・WEBマーケティング・ファクトリーなど独自の事業を展開し、さらに海外事業を通じてグローバルに拡大。「Love One Another」を追求し世界一チームワークの良い企業として「トータルプロデュース」を行う。公式サイト


 

情報収集作業の負荷軽減を目的に、デジタル化に踏み出す

――まず、御社がスタッフの皆さんの働きやすさや労働環境の改善を意識して、デジタル推進をしようと考えた理由について教えてください。

竹村:顧客に対してより価値のある商品やサービスを届けるために、スタッフが自ら考えて顧客と向き合う時間をもっと増やしたいと考えたのです。フェアタイトルや内容、プラン立案にあたって他の企業と比較をし、書き出す作業は容易ですが、実務にあたるスタッフにとっては作業負担が大きい。ここをまず効率化したいと考えていました。

――どの業務からデジタル化するかは現場の方で決められたのでしょうか?

中村:そこは現場の方で進めました。単純作業や、直接的に生産性に影響しないタスクをまず棚卸しし、そういった部分でデジタルの力を使うことにしました。

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「AI Patroller」…ウエディング業界で働く人のために開発された業務効率化支援ツール(プレスリリースはこちら

文字情報だけでなく、写真や曜日でも比較できる「クリエイティブ一覧機能」を重宝

――AI Patrollerを導入されたきっかけについて教えてください。

 中村:以前から情報収集に時間がかかることを問題視していました。基本的に私と竹村の2人で作業をしていたのですが、調べた情報をもとにどんな施策を打ち出していくかを話し合いたいのに、情報収集するだけで1日が終わるといった状況だったんですよね。そんな折、タイミング良くAI Patrollerをご紹介いただいたので、二つ返事で導入に至りました。

――AI Patrollerのどんなポイント、機能が魅力的だと感じましたか?

中村:AI Patrollerで「クリエイティブ一覧機能」を使えば、フェアの開催曜日ごとの内容や、写真など細かいビジュアルもひと目で比較でき、魅力的だと感じました。従来のやり方では「このフェアの写真は?」と気になった場合は再度調べなくてはならず、二度手間だと感じていたので、その時間がゼロになったのはとてもありがたいですね。

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リサーチ業務を約91%削減、成約数を増やす施策に注力できるように

――現在はどのような体制でAI Patroller使われていますか?

竹村:基本的に我々2人が毎日使っていて、月1でプランを更新する際に現場の集客担当者も巻き込んでAI Patrollerを見ながら次回の施策を考案するような運用をしています。

――AI Patroller導入後、リサーチ業務を約91%削減できたとうかがいました。

中村:もともとリサーチ作業は週に1度、1人2時間で合計4時間分の労力を割いていたのですが、AI Patrollerのクリエイティブ一覧機能のおかげで、クリックのみで済むようになりました。労力が0になった感じですね。

――すごい削減ですね。ゆとりができたことによる恩恵は何かありましたか?

中村:残業を減らして、早く帰れるようになったというのはもちろん、情報収集、分析、集客、成約という業務サイクルの中で、ご成約に向かうプロセスに割く時間を増やせたことです。とあるフェアを打ち出し「こんなお考えのお客様が多かった」という結果があった場合、それに対してどんなアプローチをして成約を目指すかというプロセスについても時間を取れるようになりました。

――リサーチ業務時間の削減によってクリエイティブ業務にも時間を割くことができるようになったとうかがいました。

中村:はい、クリエイティブ周りの改修をかけられるようになりました。成約がゴールではあるものの、野球で例えるとまずはお客様にお越しいただかないと打席には立てず、ホームランを打つことはできません。AI Patrollerで業務効率化できたことで、打席数を増やすという課題を解消でき「どういうバッティングをするのか」という部分に時間を割くことで、結果ホームラン数を増やすことができました。

――成約率や成約数にも変化が現れましたか?

中村:成約率も成約数も今年は右肩上がりです。特に今年の7月に関しては、例年成約数が多くなりやすいと言われる1月を上回ることができました。

さらに、おかげさまでフェア情報のCVRも1.8倍になりました。今まではフェアのタイトル、内容を考えることに時間をかけていたのですが、AI Patrollerのおかげでクリエイティブの変更やフォトギャラリーの分析などにも時間を充てられるようになりました。また、マーケティング担当とプロデューサー(プランナー)が連携し議論する機会、時間を確保することができ、精度の高い仕事ができるようになっています。

アナログな企業こそ、デジタル化による恩恵は大きい

――AI Patrollerについては今後全社で展開していきたいとうかがいました。どのように展開していくご予定でしょうか?

竹村:タガヤのウエディング事業は大阪・神戸・京都で展開しており、毎週連携して振り返りをしていますが、これまでにない要素をAI Patrollerを活用して全社還元できることがあるとも考えています。AI Patrollerを通じて自社のホームページを見直すという使い方など、新しい活用方法を見つけていきたいです。

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「神戸セントモルガン教会」公式サイトより

――現時点ではAI Patroller活用できる人材が限られているということがボトルネックになっている部分かと思うのですが、どのように社内で啓蒙していこうと考えていますか。

中村:神戸に関しては既存メンバーにもデジタル化を推進することで大きな成功事例を作り、全社的にデジタル化の成功事例として啓蒙していくことで、デジタル化に対するポジティブな状況を作り出すことも必要かと考えています。

――デジタル化、DXを進めるなかで御社が大事にしているポイントがあれば教えてください。

竹村:既存のフローを丸ごと変えるのではなく、お客様との距離感や接客スタイルなどアナログだからこそ生まれる温かさは残しつつ、効率化につながる部分を変革させていきたいですね。お客様にとって無機質で冷たくなるようなDXにはしたくないという考えは強くあります。

また、ウエディング業界の働きがいもつくっていきたいです。会社としてデジタル化を進めることで業務を効率化し、持続可能な働き方を推進する。そして働く社員たちにも幸せになってもらいたいという想いがあります。

結婚式という幸せな瞬間に立ち会うウエディング企業としては、やはりお客様に向き合う我々も幸せなオーラをまとっていないと良いものにできません。きれいごとに聞こえるかもしれませんが、お客様の幸せと向き合う時間を楽しめるようにするためにも、社員の働きやすさやプライベートの時間を大切にすることも必要です。デジタル化はその一助になると思っています。

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「株式会社タガヤ」コーポレートサイトより

――ウエディング業界のDXについて、御社が思うことがあれば教えてください。 

竹村:ここ5年でウエディング業界のマーケットもだいぶ変化してきました。以前では考えられなかったようなお客様とのオンラインでの打ち合わせや、オンラインでのデータ管理、結婚式のLIVE配信が当たり前になっています。結婚式自体の当たり前が変わってきていると感じるので、時代に取り残されないようにしつつ、結婚式の本質的な部分は大切にしていきたいですね。

中村:また、デジタル化は私たちスタッフ側の業務負荷削減や効率化だけでなく、最終的にはお客様にも還元できるものにしていくべきだと考えています。新しいサービスなどを通じてお客様により幸せな結婚式を提供できるようにしたいですね。

――最後にデジタル化、DXに踏み出せず悩まれているウエディング業界の企業さんに対してメッセージをお願いします。

竹村: 現在、集客数や成約数が好調で、これはデジタル化を進めたからこそ得られた結果です。このご時世、アナログなやり方だけで頭打ちを感じている企業こそ、デジタル化することで得るものが多いのではないかと思います。

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