専業主夫&大黒柱妻の「夫婦の形」をひもとく〜漫画家・桜沢エリカの結婚と仕事〜

専業主夫&大黒柱妻の「夫婦の形」をひもとく〜漫画家・桜沢エリカの結婚と仕事〜

6月に結婚式を挙げると、一生幸せな結婚生活を送ることができると言われる「ジューンブライド」。

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ウエディングパーク企画「#結婚前夜ってきっとこう」の桜沢エリカさんの漫画『バチェロレッテパーティ』の1コマ

結婚式を明日に控えた花嫁の気持ちを描いた「#結婚前夜ってきっとこう」。漫画家の桜沢エリカさんが表現したのは、結婚に対してポジティブに向かっていく花嫁。そして、花嫁に特別なプレゼントを贈って祝福する友人たち。独身最後の今日も、新しい人生が動き出す明日も、私たちならきっと楽しめる──

「#結婚前夜ってきっとこう」の漫画に限らず、桜沢さんがご家族の様子を描いた漫画を読んでいると、結婚に対するイメージが明るくなるように感じます。世の中の尺度にとらわれずに、自分たちに合う「結婚」「家族」のつくり方を一緒に探していけばいいんだ、と。

今回は、ご自身の結婚生活の現在地、そして家族と過ごしてきた今だから語れる「結婚」について、桜沢エリカさんにお話をうかがってきました。

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▼プロフィール
桜沢エリカ(さくらざわ・えりか)
漫画家。東京都生まれ。10代でデビューして以来、コミック誌やファッション誌など多方面で活躍中。1991年〜1993年の『メイキン・ハッピィ』で人気が不動に。自身の出産や子育ての様子を作品にも描いている。
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専業主夫と大黒柱妻で得意分野を担う

──桜沢さんは、どんなきっかけでパートナーと出会われたんですか? 

彼がクラブで働いていて、そこに遊びに行ったのがはじまりです。知り合ったお友だちと一緒に何人かで遊ぶうちに、31歳のときに付き合うようになりました。その後妊娠して、35歳で結婚。ずっと、結婚のタイミングを決められなかったんですよね。だから子どもに決めてもらったと思っています。

 ──旦那さんが専業主夫をされているとうかがっています。

子どもができた当時、私は子育てできる自信がなかったんです。それなら夫が育児を、私が仕事をして、お互いに得意分野を担ったほうがいいんじゃないかなって。そう思って、夫に「仕事を辞めてほしい」と伝えました。

高校を卒業した長男と高校生になった長女も、育児は夫が担っていました。小学校のPTA会長も経験したぐらいです。

 ──まだまだ当たり前ではない「専業主夫と大黒柱妻」という夫婦の形でありながら、『今日もお天気※1』シリーズを読むと、楽しくて笑顔になれる夫婦生活だと思えます。

そう、専業主夫ってまだまだ一般的じゃなくて。夫は学生の頃の友達に「ヒモなんだろう?」って言われたこともあったみたい。男の人はお金を稼いでいないことに対して、すごく肩身のせまい思いをする場面が多いんですよね。夫も多少悩んでいた時期もあったようです。でも、世間の価値観に惑わされるな、って。「あなたにはあなたの役割があって、私には私の役割がある。」って伝えていました。

──旦那さまと良い関係でいるために、日々の暮らしで心がけていることはありますか?

ありがとう、という言葉で感謝の気持ちを折に触れ伝えるようにしています。自分が仕事に集中するためには、相手が機嫌よく過ごしてくれているのが一番。仕事で週刊連載を持っていたら、もうケンカする体力がなくって(笑)。できるだけ自然に、お互い気持ちよく、ね。

──お二人の子育てはどんなご様子なんでしょうか。

私が子どもにのびのびとさせていて、夫がお母さんみたい。もともとの性格だと思うんですけど。夫のほうが、子どもに「あれしなさい、これしなさい」って、うるさく言うタイプ。息子が古着屋でダサい服を買ってくると、「そのダサい服を洗濯するのは俺なのに、こんな服を洗わなきゃいけなくてつらい」って言い出すくらい(笑)。

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私は、まともな人間に育ってくれればって思うくらいです。子どもたちも、もう全部自分で決めて動けるから。間違った選択をしないように応援することしかできません。漫画を描きつつ、遠くから見守る。

私が何か言うのは、眉毛を剃るなってことくらいですね。インスタグラムを見せて「ほら、世界基準だとみんな眉毛太いでしょう?」って言い聞かせる(笑)。テストの成績が良くなくても、「まあ、次頑張って」って言っています。

誰かのために頑張れるから、働くことが楽しくなった

──桜沢さんご自身は、結婚と子育てによってどんな変化がありましたか?


子どもが大好きになりましたね。妊娠したときは苦手意識があったくらいなのに。

あと、働くのが楽しくなった。子どもができたことで仕事への意識が変わりました。妊娠する前は、もう全部放り投げて逃げ出したい気持ちもあって。漫画の仕事をずっと続けていけるのかなっていう不安だとか、アシスタントが何人もいて猫も何匹もいて、背負うものが多かったんです。でも、子どもができてからは腹をくくれました。ちゃんと仕事として向き合おうって意識が変わったように思います。

自分のためだけに働いていると、モチベーションを保つのに限界がある。三ツ星レストランに行くだとか、洋服を買って散財するとか。自分が少々贅沢するって言っても、そんなの飽きますからね。こんなことのために働いているのかな、って気持ちになる。そうなると、仕事って続きません。誰かのためにっていう気持ちがあるから、働くモチベーションを維持できるんでしょうね。

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──作品の内容も大きく変わっていますよね。ご結婚される前は、人間味のある恋愛がメイン。ご結婚後はご自身の家庭生活も描いていらっしゃる。

常に自分が一番興味のあることを題材に描いているので、自然と変わっていきましたね。20代や30代前半って恋愛しかなかった。でも今は、子どもがいる。子どもってすごくおもしろくて。見ていて飽きないので、自然と育児漫画を描いたり、あとバレエや猫が好きなのでそんな漫画を描いたり。興味のおもむくままに描いています。

私がガミガミ言わないせいか、子どもたちがすごく自分のことを私にしゃべってくるんですよ。おもしろい話をいっぱい聞かせてもらって、最近の10代の子ども達が考えていることや流行りの言葉などがよくわかります(笑)。

──結婚してよかったなと思うことはありますか?

夫は、私と全然違うタイプ。気働きができるマメな人で、一緒にいてとっても楽なので、そこが結婚してよかったなって(笑)。大災害がおきても、私ができないことをやってくれるこの人と、一緒なら生き残れるんだろうなって気がするんです。そういうところは、結婚してから少しずつ気づいていきましたね。

あとは、夫がおもしろいんですよ。常におもしろさに満ちている人ですね。

理想の「#結婚前夜ってきっとこう」

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──今回の「#結婚前夜ってきっとこう」には、どんな思いが込められていますか

私は妊娠中に結婚式を挙げたので、ドレスが選べなかったんです。どうしても形に制限があったのが、ちょっと心残りで。打掛を着てみたいな、違うドレスを着てみるのはどうだろう、って想像しちゃいます。結婚式ってやっぱり大事な晴れの舞台だと思うので、何回でも立ちたいなって思う(笑)。そして、独身最後の夜はバチェロレッテパーティーもやりたい。女の子たちで楽しい時間を過ごせたらなって。そんな気持ちで描きました。

(桜沢エリカさんが描いた「#結婚前夜ってきっとこう」の4コマ漫画はウエディングパーク特設ページにてご覧いただけます)

※1: 『今日もお天気』 桜沢エリカさんのコミックエッセイ 

(文:菊池百合子 / 編集・写真:小松崎拓郎 )

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